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感慨深いものを求めて《第27回 三洋堂書店便り》

2021年9月22日 投稿

こんにちは、一般書・文庫バイヤーのMです。

社会人になってからなのですが、世代が異なる人の話を聞くのが面白いと感じるようになりました。

たとえば、私の父と母が結婚する前にお付き合いをしていた頃の話。
大阪は梅田駅の有名なスポット「泉の広場」で朝の10時にデートの待ち合わせをしていて、母は時間通りに来たのですが、父は前夜に深酒をやらかして半日以上遅刻をし、夕方の4時頃にのこのこやってきて母を大激怒させたという強烈なエピソードがあります。

今では梅田駅の泉の広場もずいぶん様変わりしていますし、スマホで多彩な連絡手段がある現在なら考えられない待ちぼうけだと思いますが、公衆電話もつながらず「事故にあったんじゃないか…」と心配でその場を動けなかった「恋心」は、今も昔も変わらないんだなと話を聞きながらほっこりしていました。
(ちなみに母は泣きながら帰って、その後一週間くらい口を利かなかったそうです)

世の中には変わっていくものと変わらないものがあって、その「変わらないもの」が自分に近しい人の話や物語から垣間見える瞬間に、私はとても面白いと感じるようです。


というわけで、今週もエッセイや対談集で今おすすめの商品がありますので、ご紹介していきます!
今だ自分が知らない価値観、読んでみるのはいかがでしょうか。

「ぼく」は13歳になった。

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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー The Real British Secondary School Days 2

著者名
ブレイディみかこ/著
出版社名
新潮社
税込価格
1,430円

13歳になった「ぼく」の日常は、今日も騒がしい。
フリーランスで働くための「ビジネス」の授業。
摂食障害やドラッグについて発表する国語のテスト。
男性でも女性でもない「ノンバイナリー」の教員たち。
そして大好きなじいちゃんからの手紙。

心を動かされる出来事を経験するたび、「ぼく」は大人への階段をひとつひとつ昇っていく。

80万人が読んだ「一生モノの課題図書」、完結編!
第1作は先日文庫版が発売になっていますので、あわせてぜひどうぞ。

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ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

著者名
ブレイディみかこ/著
出版社名
新潮社
税込価格
737円

人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。
人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。

優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。
最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。

人間の面白さを描いた名エッセイ

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向田邦子ベスト・エッセイ

著者名
向田邦子/著 向田和子/編
出版社名
筑摩書房
税込価格
990円

幼いころから磨かれた観察眼と黙っちゃいられない正義感。
向田邦子の手にかかれば、ごく平凡に見える日常が鮮やかな色彩を帯びて動き出す。
考え抜かれた言葉選びと胸がすくどんでん返しは、まさにエッセイのお手本。

家族、食、私、仕事のことから処世術まで。
ちくま文庫オリジナル・アンソロジー。

勝つことより大切なことがあります。

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考えて、考えて、考える

著者名
丹羽宇一郎/著 藤井聡太/著
出版社名
講談社
税込価格
1,540円

藤井聡太、初の対談本で自らの19年間を語る。
「死ぬまで努力」の稀代の名経営者との対話から見えてきた異次元の天才の頭の中身。

14歳2ヵ月で最年少棋士となって以来、次々と最年少記録を塗り替え、驚異的な勝率で勝ち続ける19歳の強さの源とは。
より強くなるための学び方、心の整え方、そして探究を続けることの楽しさ。

とことんやってみることで見える風景がある。




書いた人:一般書・文庫バイヤーM
ほぼ絶版状態ですが、群ようこ先生の名エッセイ『無印良女(むじるしりょうひん)』もおすすめです。

三洋堂書店便りは毎週水曜日更新。
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