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【明屋書店コラボ記念コラム】人生ふたつぶん懸けて、叶えたい夢がある!

2021年5月10日 投稿

連載前から満身創痍

「連載、決まりましたよ!」

名古屋を舞台にしたフィギュアスケート漫画『メダリスト』。

作者・つるまいかださんに連載決定のお知らせをした時、

つるまさんは愛知県の病院のベッドの上でした。

この作品を描くために始めたフィギュアスケートのレッスン中に転倒、

複雑骨折したためです。

漫画家を目指して一念発起、勤めていた会社も辞めたつるまさんの夢は、

絶対安静で脚を吊るされた状態で叶いました。

電話口で「や、やったぁ〜…骨を折った甲斐が…ありました」と答えてくれた声の

かぼそさを覚えています。

(ちなみに骨折の理由は、難しいジャンプに挑戦したからとかではなく

超初歩の滑走練習をしていて、だそうです。)

 

骨折が一番の事件でしたし、二度とこんなことは起きてほしくないですが

その後も大小色々な事件を乗り越えながら、漫画『メダリスト』の連載は続いています。

 

連載1話の原稿が完成して入稿も終わった後に

「あのぅ…本当にすみません…」と電話がかかってきて

ほぼ全ページ修正・差し替えとなった時「なんでだ、いかだー!!!」と叫んだのも

今ではいい思い出です。(でももう、やらないでほしい。)

 

そしてそんなつるまさんの

一生懸命なのに、どこかままならない不器用さや

これと決めた時に放たれる強い意志の輝きは

『メダリスト』の登場人物達にも反映されています。

 

主人公・いのりはフィギュアスケートがやりたくてやりたくて

でもそれが許されず、学校生活は不得意で生きづらさを抱えています。

いのりが初めて自分の思いを吐露した場面、

「みんなと同じようにできないなら、みんなの真似して頑張って生きるんじゃなくて、

他の子ができないことを頑張りたい」

「私にもだれかに負けないくらい好きなことがあるって、私は恥ずかしくないって思いたいの」

という言葉は、つるまさんだからこそ描けた“夢を追う決意”だと思います。

冷たい氷上が熱い戦場

デビュー作にして1・2巻ともに発売即重版、

ありがたくも書店の皆様からもこうして熱く応援していただいて

ひょっとしたら順風満帆な作品だと思われているかもしれませんが、

実際は本当に「来月ちゃんと掲載できるかな…」という綱渡りの舞台裏です。

無理矢理美しくたとえれば

フィギュアスケーターが、本当はものすごい力で自重を支えているのに

それを全く感じさせずに軽やかに滑走しているのに近いかもしれません。

 

この先も、冷たく不安定な氷の上で

いのりと、いのりのためにコーチに転身した青年・司は

ふたつぶんの人生を懸け、

誰より熱くオリンピックの夢を目指して頑張り続けます。

その姿をぜひ一緒に見守ってください。

 

ところで、最近叶ったつるまいかださんのもうひとつの夢が

漫画『八十亀ちゃんかんさつにっき』とのコラボでした。

名古屋を舞台としたご当地コメディの傑作4コマで

『メダリスト』のキャラクター達の生活圏とも重なっているので

あわせてぜひ読んでいただきたいです!

 

ちなみに私自身の次の夢のひとつは、本屋さんで『メダリスト』の単行本が

売られているのをつるまさんと一緒に見ることです。

店頭で装飾展開していただいている写真を送って喜びあってはいるのですが

二人で一緒に居る時に店頭の単行本を見るというのができないままで…。

6月の3巻発売時に、ぜひ叶えたいなと思っています。

文:講談社 アフタヌーン編集部 副編集長 矢島 真理子

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1巻発売当初、本部コミック担当が『メダリスト』を紹介!!
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