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こんにちは！
医師兼ライトノベル作家の遠野九重（とおの・ここのえ）と申します。
このたびは三洋堂書店さまの新ホームページがオープンするということで、地元作家の一人としてコラムを寄稿させていただくことになりました。よろしくお願いします。
テーマは「私と地元」とのことなので、三重県でのエピソードについて語らせていただこうと思います。
私はもともと大阪府で暮らしておりまして、大学進学に伴い、三重県の津市に引っ越すことになりました。
下宿先は大学近くの狭いアパートだったのですが、ひとつ、ものすごく困ったことがありました。
なんと、近くに書店が存在しないのです。
大学生協の書店スペースは教科書中心のラインナップで、一般書はあまり扱っていません。
当時、医学生とは思えないほどの文学青年で本好きだった私にとって、それはあまりに致命的な事態でした。文明のない場所に放り出されたような心地になったことを覚えています。
大慌てでインターネットを検索し、発見したのは、国道２３号線を名古屋方面に３㎞ほど向かった先にある書店でした。
それからというもの、週に１度は自転車をギコギコと漕ぎ、その書店に通いました。
行き帰りの道にはアップダウンの激しい坂もあり、しかも津市は海沿いで風が強いため、途中で心が折れそうな日もありました。
けれでも大学を卒業するまでの６年間、授業をサボることはあっても、書店通いだけは続けていました。
その書店こそ、三洋堂書店のひとつ、津市にある白塚店だったのです。
大学時代の私にとっては、貴重な文化の供給源でした。
当時のクセは今も続いておりまして、月１回の頻度ではありますが、白塚店を訪れては新刊本と、ついでに文具コーナーでペンとノートを買い、道路を挟んで向かい側にあるスーパー銭湯（極楽湯）で読書をしながらアイデアをまとめたりしています。
最近は店舗の２階にフィットネスが入ったので、そちらで汗を流してから銭湯に行くことも検討中だったりします。
大学時代、麻雀仲間と一緒に１年間ずっと朔日餅に通ったことがあるのですが、スケジュールはなかなかに過酷でした。
集合は午前２時……草木も眠る丑三つ時です。
あくびを噛み殺しながら大学の駐車場に向かい、仲間の一人が出してくれた車に乗り込みます。
車の運転は前々日の麻雀で１位の人間が担当する、というルールでした（そのため２位争いという奇妙な事態がしばしば起こりました）。
１時間ほどかけて伊勢に向かうと、神宮に近付くにつれて車の量が増えてきます。
とても深夜とは思えません。
駐車場を探すのもやっとで、それから赤福本店に向かうと、まだ午前３時か４時だというのに長蛇の列ができています。
そこに並び、ひたすら開店を待つわけです。
基本的には仲間たちと喋って時間を潰しますが、深夜ということもあって、沈黙が訪れることがあります。
そんなときに備え、私はいつもポケットに文庫本を忍ばせていました。
電灯があちこちに設置されているので、明るさには困りません。
やがて時間を潰すうちに朝が訪れ、朔日餅の販売が始まるわけです。
……今になって振り返ると、こんな無茶を一年間もよく続けられたな、と思います。
ちなみに時間潰しのための文庫本は前述の白塚店で買ったものでして、朔日餅に限らず、部活の合宿などの直前には、あのアップダウンの激しい坂を越えて書店に通ったことを覚えています。
以上が「私と地元」についてのエピソードとなります。
ちなみに現在では朔日餅の販売システムが変わり、長時間並ばずに済むようです。
ぜひ一度、足を運んでみてはいかがでしょうか？
最後に著書の紹介です。
現在、MFブックス（KADOKAWA刊）より『異世界で手に入れた生産スキルは最強だったようです ～創造＆器用のＷチートで無双する』が３巻まで、アリアンローズ（フロンティアワークス刊）より『起きたら２０年後なんですけど！ ～悪役令嬢のその後のその後～』が２巻まで発売されております。
どちらも、大きな力を持った主人公が次々と困難を打ち破る、パワフルで爽快感のある話になっております。スカッとしたい時にぜひお読みください！
それでは失礼いたしました。
これからも遠野九重と、三洋堂書店をよろしくお願い致します。
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起きたら２０年後なんですけど！ 悪役令嬢のその後のその後 １
- 著者名
- 遠野九重／著
- 出版社名
- フロンティアワークス
- 税込価格
- 1,320円
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異世界で手に入れた生産スキルは最強だったようです。 創造＆器用のＷチートで無双する １
- 著者名
- 遠野九重／著
- 出版社名
- ＫＡＤＯＫＡＷＡ
- 税込価格
- 1,320円
