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三洋堂書店便り《第2回》

2021年3月24日 投稿

こんにちは、一般書・文庫バイヤーMです。
本当にまったくどうでもいい話ですが、近所の公園に桜が咲いていました。桜といえば「もののあはれ」ですね。
『新古今集』の中で、平安時代後期から鎌倉時代初期を生きた徳大寺実定(とくだいじさねさだ)という歌人がこんな歌を残しています。

はかなさを ほかにもいはじ 桜花 咲きては散りぬ あはれ世の中

咲いては散ってしまう桜の花を、移ろいやすい人の世(当時は、貴族から武士の世に変わりつつあった時代背景もあったと思われます)にたとえた歌です。
春のあたたかい時期に詠む和歌は、胸の奥に「ぐっ」とくるものがあって好きなんです。
(咲き始めから散ることを考えているのもどうなのかとは思いますが…)

それはさておき。
今週も三洋堂書店の売場から、おすすめの商品をご紹介していきます!


「本屋大賞2021」ノミネート作品

書店の文芸書売場で春のイベントといえば「本屋大賞」です!
1月の中旬に芥川賞・直木賞の発表があり、盛り上がった直後に本屋大賞ノミネート作の発表があり、4月の上旬に本屋大賞の発表と続いていく流れはもはや本屋さんの定番となりました。
毎年ノミネート作の段階から心に沁みる感動作や考えさせられる大作ばかりですが、なんと二作品も東海地方に所縁のある作家さん・作品がノミネートされています!
大賞の発表は4/14(水)予定ですので、それまでに気になった作品の読み比べはいかがでしょうか。
ちなみに、毎年同時期に発表される「翻訳小説部門」も良質な作品が多いので、読書好きな方にはこちらもおすすめです。


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お探し物は図書室まで

著者名
青山美智子/著
出版社名
ポプラ社
税込価格
1,760円

お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?
悩める人々が立ち寄った小さな図書室。
不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない選書と可愛い付録で人生を後押しします。
『木曜日にはココアを』の著者が贈る、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

著者の青山美智子先生は愛知県出身!
文庫売場では、『お探し物は図書室まで』以外の先生の作品もコーナー展開で応援中です!


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犬がいた季節

著者名
伊吹有喜/著
出版社名
双葉社
税込価格
1,760円

ある日、高校に迷い込んだ子犬。生徒と学校生活を送ってゆくなかで、その瞳に映ったものとは―。
最後の共通一次、自分の全力をぶつけようと決心する。18の本気。
鈴鹿でアイルトン・セナの激走に心通わせる二人。18の友情。
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件を通し、進路の舵を切る。18の決意。
スピッツ「スカーレット」を胸に、新たな世界へ。18の出発。
ノストラダムスの大予言。世界が滅亡するなら、先生はどうする?18の恋…。
12年間、高校で暮らした犬、コーシローが触れた18歳の想い―。
昭和から平成、そして令和へ。いつの時代も変わらぬ青春のきらめきや切なさを描いた、著者最高傑作!

著者が三重県出身!さらに作品も三重県が舞台!
静かな感動が胸をうつ、大人の方にもおすすめの青春小説です。



3月の注目文庫新刊!

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魔力の胎動

著者名
東野圭吾/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
792円

成績不振に苦しむスポーツ選手、息子が植物状態になった水難事故から立ち直れない父親、同性愛者への偏見に悩むピアニスト。
彼等の悩みを知る鍼灸師・工藤ナユタの前に、物理現象を予測する力を持つ不思議な娘・円華が現れる。
挫けかけた人々は彼女の力と助言によって光を取り戻せるか?円華の献身に秘められた本当の目的と、切実な祈りとは。
規格外の衝撃ミステリ『ラプラスの魔女』へとつながる、あたたかな希望と共感の物語。


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おまじない

著者名
西加奈子/著
出版社名
筑摩書房
税込価格
682円

「あなたは悪くないんです。」(「燃やす」)
「私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。」(「孫係」)
「弱いことってそんないけないんですか?」(「マタニティ」)
―さまざまな人生の転機に、まじめさゆえに孤独に思い悩んでしまう女性たちの背中をそっと押して、新しい世界に踏み出す勇気をくれる魔法のひとこと。
珠玉の八編、ついに文庫化!
巻末に長濱ねるとの特別対談を収録。

東野圭吾先生と西加奈子先生の新刊が満を持して販売開始!
両作品とも短編集ですので、スキマ時間に読むのもおすすめです。


人間よ、昆虫から学べ!

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NHK「香川照之の昆虫すごいぜ!」図鑑 Volume1

著者名
カマキリ先生/著 NHK「昆虫すごいぜ!」制作班/著
出版社名
NHK出版
税込価格
1,210円

みんな大好き、俳優・香川照之さんが扮する「カマキリ先生」が、黄緑の衣装に身をつつみ、昆虫の魅力を伝えるNHKの人気番組「香川照之の昆虫すごいぜ!」が待望の出版化です。
番組のなかでは伝えきれなかった昆虫の生態を、迫力満点のビジュアルとともに紹介する一冊です。
各昆虫についてかなり詳しく記載されていますので、小学館NEOや講談社MOVEの図鑑を持っているお子さんにもおすすめ!
情熱が溢れすぎて収録しきれなかったもようで、2巻は6月、3巻は9月に発売予定です!

ちなみに、4月は児童書の大型新刊がたくさん発売になる月です。
出版社さんもバイヤーも気合が入っておりまして、私のデスクの向こう側に座っている児童書バイヤーH氏のここ最近の仕入れの熱量が凄すぎて火傷しそうになっております。
情熱溢れる紹介記事は下記リンクからぜひご欄ください!
(『PUI PUI モルカー』の本もあるよ)

↑↑↑画像をタップで、「4月の人気児童書新刊」記事へ移動↑↑↑

今週のバイヤーのイチオシ

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ビタミンF

著者名
重松清/著
出版社名
新潮社
税込価格
737円

このビタミンは心に効きます。疲れた時にどうぞ。第124回直木賞を受賞した「家族小説」の最高峰。
38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。妻の入院中、どう過ごせばいいのやら。
36歳、「離婚してもいいけど」、妻が最近そう呟いた……。
一時の輝きを失い、人生の“中途半端”な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。
「また、がんばってみるか——」心の内で、こっそり呟きたくなる短編七編。直木賞受賞作。

普通の人の心情を書かせたら右に出る者はいない、重松清先生の短編集。文庫版は18年前の出版ですが、ここ数ヶ月で全国的にも売れています。
一息ついてまたがんばりたい人へ。春を迎えるにあたって、ぜひおすすめしたい一冊です。


書いた人:一般書・文庫バイヤーM
「春に咲く花には、桜の他に梅や桃なんかもあるんだよ」と自慢げに娘に教えたら、見分け方を聞き返されて答えられませんでした。
チコちゃんに叱られそう…。

おすすめ新刊やフェア、気になる本のこと(時々なんの役にも立たないこと)などなどをツイッターでもつぶやいていますので、ぜひフォローよろしくお願いします!

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