
図書館館長なのに「借りるより買いたい本」を推すシリーズ vol. 11
日々10万冊を超える本に囲まれながら年間2,000冊以上読む図書館館長がどうしても手元におきたくて買ってしまう本とは?
「11人いる!」「スターレッド」
どうしても今回1冊に絞り切れなかったのが、萩尾望都の「11人いる!」と「スターレッド」です。
40年にわたって何度も繰り返し読むのがこの2冊なのでご容赦を。
共通しているのは「スペースオペラ」と「性」という点だと思われます。いずれの作品も男性でも女性でもない存在や性転換などが当たり前のように描かれています。
これは他の萩尾望都作品の随所に現れますが、当時は「LGBTQ+」という概念も言葉もありません。
そして「少女マンガ」という分類は確かにあったはずなのですが、少年だった私はこの2作品についてその感覚はありませんでした。竹宮恵子作「地球へ」などもそうですが。
「11人いる!」
時は未来。地球連邦政府(テラ)が誕生し異星人との交流が日常的な世界。宇宙各地から選ばれた受験生らが宇宙大学入学への最終試験に臨む。
主人公の試験は宇宙に漂うスペースシップに乗り込み53日間無事に過ごすこと。10人の受験生で。
事態は急展開します。乗り込んだ受験生は11人! そして船内に仕掛けられた爆薬が爆発し、船は太陽へと軌道を変えます。温度の急上昇と船内にはびこる植物。
追い打ちをかけるかのように事故や死に至る感染症が発生。11人目は誰で目的は何か。疑心暗鬼になる受験生たち。
合格すれば男性になる許可が得られる中性のヒロインはじめ、一人ひとり宇宙大学に合格する動機が明かされていく中、主人公はかつてこの船に乗っていた幼少期の記憶を思い出します。この感染症を生き抜いた乗客だった記憶を。果たして11人目として犯人扱いされる主人公の運命は。
ミステリー、友情、恋愛もぎゅっぎゅっと詰めこんだ傑作です。
「スターレッド」
地球から火星へ移住が進められるも何故か火星で子供が生まれることがなく移住計画はいったん白紙に。年月が過ぎ、火星でも子供が生まれる施設が整い新たに移住が進められる中、突如火星人が出現。
平然と地球人の暮らすドームの外壁をすり抜け、火星人にとって聖なる場所であるその地の明け渡しを要求します。
世代を経るごとに強い超能力を身に着けていく進化した地球人である火星人。
火星人のヒロイン、セイは地球人の養父に宇宙空間で拾われ地球人として地上で育ちます。
ある日、暴走族のリーダーとなっていたセイは、たまり場で謎の人物と出会います。
彼の宇宙船で憧れていた火星に瞬間移動したセイ。しかし火星人の預言者たちはセイの出現は自分たちを滅ぼす凶事だとして命を狙います。
一方で別の未来視をした預言者の弟はセイを救おうとします。
火星を消滅させようとする異星人の出現や、火星人に恨みを抱き執拗にセイを追う地球人、そして謎の人物などが複雑に絡み合いながら物語は進みます。セイと火星の運命は。
極上のスペースオペラをお楽しみください。
「11人いる!」「スターレッド」はこちら

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11人いる!
- 著者名
- 萩尾望都/著
- 出版社名
- 小学館
- 税込価格
- 935円

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スター・レッド
- 著者名
- 萩尾望都/著
- 出版社名
- 小学館
- 税込価格
- 1,298円
熱田図書館長 佐々木
5歳で角膜移植した際、ドクターからの「喫煙禁止」と「読書禁止!」との言葉を忠実に守り続けるも、なぜか現在図書館長。
趣味は合気道、英語学習、旅行、温泉、アニメ、韓流、カラオケ、SNS、読書?
その他テニス、スキューバ、サーフィン、水泳・・・多趣味でキリがありません。
今現在の推しアイドルは、「ILLIT」! かつては「少女時代」。
アフタヌーンティーは日本、英国など有名店を制覇中。
こだわりはスコーン。
文中で登場した作品たち

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地球へ… 1
- 著者名
- 竹宮 惠子 著
- 出版社名
- スクウェア・エ
- 税込価格
- 680円