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けんごさん小説紹介「くますけと一緒に」

2025年8月15日 投稿
@kengo_book この事故を招いたのは、本当に〝くますけ〟なのかーー。 『くますけと一緒に』の紹介です📚 #本の紹介 #おすすめの本 #小説 #小説紹介 ♬ オリジナル楽曲 - けんご📚小説紹介

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くますけと一緒に

著者名
新井素子/著
出版社名
中央公論新社
税込価格
968円

【スタッフのつぶやき】 と期待値の話
杜甫甫酒造(以下、と)
「こんにちは、『鬼にならないか?』杜甫甫酒造です。」


政宗(以下、政)
「え? 店長、いつから猗窩座さんになったんですか? 脱・税理士のスガワラさんの物まねするって言ってましたよね。」

と「いやいや、今は『鬼滅の刃 無限城編』でしょう。4日間で49億円でしたっけ? 前回の『無限列車編』を超えるスタートダッシュですよ。」

政「あ、実は公開初週の土曜日岐阜に鬼滅とは別の映画見に行ったんですけど」

と「えー、このタイミングで鬼滅とは別の映画の話?」

政「あ、いえ、それ終わって夜9時に帰る時に、ポップコーン売場が鬼滅のお客さんで大行列でしたって話なんです。」

と「す、すげえ・・・。現場感、リアルタイム体験者じゃーん。ま、今回の作品は鬼滅は関係ないんですけど。いや、雰囲気的には近くなくもないかも。」


政「じゃあさっさと本題に入りましょう。今月は『くますけと一緒に』新井素子、中央公論新社ですね」

と「進行がいいねぇ。なんか気にならなくなりましたよ。

 主人公は、ぬいぐるみのくますけが大好きな成美ちゃん。くますけと成美ちゃんは会話ができます。
 友達の葉子ちゃんは、そのくますけを水たまりに落として踏んづけました。成美ちゃんは、●んでしまえばいいと思いくますけに話します。
 くますけは、「じゃ、そうなるよきっと。」といいます。

 葉子ちゃんは死なないものの交通事故にあい、そして、その直後成美ちゃんの両親が亡くなってしまうのです。
 果たして、手を下したのは誰か? くますけに本当にそんな力はあるのか?
 っていうホラーファンタジーです。ま、鬼滅の刃もちょっとだけですがグロい描写があるので、ホラーっぽいとも言えなくもないですね」



政「結論。くますけが犯人です。以上、じゃないですか?」

と「政宗君、裁判官みたいだねえ。コスパいいねぇ。 でも小説は結論を知るものじゃないんですよ。
  1ページ目に『犯人はヤス』って書いてあったら、そんな小説読みますかって話ですよ。
  もしかしたら、ぬいぐるみと会話ができる怖い少女成美ちゃんが、実は人生2回目で徳を積みながら恨みも晴らしてオオアリクイになる次の人生を回避する話とかかもしれないじゃん」

政「混ざってます混ざってます。ブラッシュアップライフと。」

と「そーなんです。そんな明るいドラマを借りてまで、暗い雰囲気を払拭したかったんですよ。先月いいましたが、私ホラーいやなんですよ。ロクに調べないで、新井素子ブランドだけで選んじゃったんで、後悔しながらよみましたよ。映画『AKIRA』のテツオが入院して熊やウサギの巨大なぬいぐるみに追いかけられる場面を思い出してしまいました。」
  それより、政宗くんは、成美ちゃんは本当にぬいぐるみとしゃべってると思います? それとも、しゃべってるつもりの痛い子だと思います?」

政「うーん。ぬいぐるみがトイストーリーの様に動けて事件を起こすなら、普通のホラーというか。でも、しゃべってるつもりというか自分自身との会話で、別人格の成美ちゃんがそれを元に事件を起こしてる方が、もっとホラーじゃないですか?」

と「やめてください。めっちゃ怖いので。
  昭和の昔ね、土曜ワイド劇場っていうのがあってね。ドラキュラの末裔が密かに生きてて、一定時間ごとに人間の血を飲まないといけなくて、バッグに忍ばせた試験管に入った血を隠れて飲む話があったの。怖かったなあ。」

政「話がとっちらかってますが」

と「そうそう、ふと思い出したもんでね。そんでね、また別の話で」

政「また別の話?じゃあ、今のドラキュラの話は?」

と「思い出して、どうしても話したくなったの。試験管に血を入れてコルクで蓋をしてるの。ちょっとおかしくね?」

政「はあ・・・。店長の思い出聞くコーナーじゃないので、まあ先に進めてください。」

と「それでね、別の話で、話の前後は覚えてないけど、なんか5歳くらいの子供が大人を山小屋みたいなところにだまして入れて、椅子でドアが開かないようにして閉じ込めた話があったの。床にはガソリンが巻かれてて、外から小窓をのぞいて花火に火をつけて「●んじゃえー、●んじゃえー」って言いながら花火を落としてその山小屋が燃えて閉じ込められた大人は●んじゃったんです。」

政「聞いてるとコントみたいですけど」

と「でしょ。今思うとね。でも私はその時はまだ小学生で、怖くて、父親に怖くないのかって聞いたの。そしたらあまりにも有り得なくてあほらしい、と言われたんです。そりゃそうだよね。今我々もそう思うんだから。でもね問題はそれが大人向けのドラマとして放送されていたってことなんです。そんな昭和のドラマ怖くない?」

政「ドラマのコンセプトが怖いって笑い話になってません? え? この本そういう内容なんですか?」

と「そんなあほらしい内容で売れる訳ないでしょ。」

政「自分で誘導されたんじゃ・・・」

と「ま、まあね。それよりこの本がいいのは、ホラーファンタジーなんだけど家族愛の物語なんです。だからこそ売れたのだと思うな。それこそ映画『ハッピーデスデイ』みたいな。ホラーでウルウル来るなんて思わないじゃん普通。
  ビジネスって、期待値のコントロールって大事なんですって。食品サンプルが大盛りなのに実物が少なかったら、ガッカリするでしょ。逆に知らずに一見で入って鬼のように大盛りの店とかあったりするとスゲーってなるでしょ。
  この『くますけと一緒に』も『ハッピーデスデイ』も予想外の要素が期待値を超える結果となって、いい意味でずるいなって思うんです。鬼滅も原作読んでないし映画も見てないけど、アクションだけじゃなく、登場人物の背景も泣ける話があるそうじゃないですか。そういう意味で売れる話って要素が複合してるんですよね。あ、そうそう、この店(高山店)でバイトしておられた米澤穂信先生も、『黒牢城』で直木賞を受賞しておられるけど、山田風太郎賞も受賞してるんですよね。これね、ミステリ感いっぱいの表紙でないところが逆にいいんです。知ってますよ「歴史ミステリ」だって宣伝してるんですから。でもね表紙は赤と黒でお城の瓦屋根っぽいものが描かれているだけ。もろ渋い歴史小説感満載なので、どうしてもそのつもりに寄ってしまう。なのに読むとミステリなの。手品がタネがあると分かっていても楽しめるように、期待値とのズレというか超える部分がいいんですよ。」

政「不良が雨の中に野良猫をかわいがってたのを見た感じですね。」

と「う、うーん。
  それと一緒にされるとアレだけど・・・。『くますけと一緒に』と『ハッピーデスデイ』と『黒牢城』と『不良と野良猫』が並列というのもなあ・・・。『不良と野良猫』は直木賞取らないでしょ。」

政「そうは言ってません。じゃ、うまく落ちませんでしたけど、今月はこの辺でいいですかね(笑)。ではまた!」

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