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【作家コラム:原田ひ香 先生】節約雑誌に魅せられて

2021年12月10日 投稿

美容院で出会った節約雑誌

2021年8月に出版された『三千円の使いかた』は6刷、20万部を超えたとお聞きしました。
ひとえに、読者さんと書店員さんのおかげと、本当に有難いことと思っております。

 家族とお金、つまり、家計が気になったのはかれこれ12、3年頃前になります。
美容院で、「おは奥」「すてきな奥さん」「サンキュ」といった、主婦の節約雑誌を読んだことから始まりました。

 当時は年収200万台で子供あり、でも、貯金をしっかりしてる、という主婦の方がたくさん出ていました。もう、雷に打たれたくらいの衝撃で、すぐに担当編集者さんに「こんなの知ってる?」と興奮して話したことを覚えています。

 もやしや鶏胸肉、豆腐などの安価な食材を上手に美味しく調理する、ということもこの時覚えました。

「お金」を小説に

 「これは小説になるのではないか?」と思ったのは、2012年以後です。それまで、30万だとか100万が貯金の目標だったのが、ある時急に「やっぱり1000万貯めたい!」という特集が組まれ、1000万以上貯めてる奥さんが出てきたんです。

 さらにその頃、雑誌内で、これまで月2万の予算が多かった食費が3万になったのです。少し余裕を持って予算を立てて、余った分はご褒美に使いましょう、というような提案だったと思います。節約雑誌も変化をし、時代にそって変わっていくのだ、ということを実感しました。それから、定点観測として、「サンキュ」を毎月買って、とても楽しく読んでおります。

 節約を小説にできるのでは、と何回か出版社さんに提案はしていたのですが、なかなか話がまとまらず、私の方もどんな形でストーリーに起こそうか決めあぐねておりました。

幸せな女性とは

その中で、やっぱり、話を決めてくれたのが節約雑誌でした。
節約雑誌に出ている主婦やご家族の方は皆、お幸せそうです。

当時、世の中のドラマや小説に出てくる主婦はたいてい不幸そうでした(笑)。

夫に浮気されていたり、自分が不倫していたり、十分に幸せな状況なはずなのに不満を持っていたり、殺人に巻き込まれたり(不倫ドラマが流行っていた頃でもありました)。
これは物語を作る上で仕方ないことです。普通に幸せな主婦では物語になりにくい……というのは本当なので。

でも、節約雑誌の中の方達を見て、私は普通に幸せな女性を描いてみたい、と思いました。夫の給料は多少少なくても、可愛い子供がいて楽しく暮らしている、夫との関係も良好。
本当のところ、そういう人の方が多いのではないか、とも思いました。それを描くのに、「お金」というものを中心に持ってくれば可能なのではないか、と。

それでできたのが『三千円の使いかた』の真帆です。

『三千円の使いかた』を気に入ってくださった方には、ぜひ、現在発売中の『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』も合わせてお読みいただきたいですね。

 

『三千円の使いかた』同様、懸命に生きる、普通の女性がたくさん出でくるので……。また、次もお金の話を、という方には、来年、新潮社から『財布は踊る』が出るので、併せてよろしくお願いします。

 

 

2021年 12月 原田 ひ香

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三千円の使いかた

著者名
原田ひ香/著
出版社名
中央公論新社
税込価格
770円

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母親からの小包はなぜこんなにダサいのか

著者名
原田ひ香/著
出版社名
中央公論新社
税込価格
1,760円

原田 ひ香先生の作品は「三千円の使いかた」だけではありません!

読むとお腹が空く、おいしい小説、有り〼
筆者は「ランチ酒」シリーズをお勧めします

 

「食べて飲んで生きていく」それでいい

 

疲れた心に沁みるお話です。

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