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もののあはれ 《第51回 三洋堂書店便り》

2022年3月30日 投稿

こんにちは、一般書・文庫バイヤーのMです。

すっかりあたたかくなってきて、東海地方の桜は今週から来週が見頃なようですね。

個人的に、桜を見ると「もののあはれ」という言葉を思い出します。
ものを見たり聞いたりする時にふと生じる感動や情緒をあらわす美的感覚をさす言葉で、よく日本人の美意識や価値観の基盤になっているとも言われますね。
『源氏物語』に代表される平安時代の文学にその起源があるとか。

桜のはかなさや、春が出会いと別れの季節ということも手伝って、そんな言葉を思い浮かべるのかもしれません。

ちなみに、この時期は通勤電車で楽しみにしている「ZIP-FM」ラジオ番組の編成時期でもあり、今年はお気に入りの番組が3つも入れ替わることがわかって「あはれ」「あはれ」を連呼しているわたくしです。
ああ、無常…。


というわけで。
今回は桜を見ながら読んでほしいおすすめをピックアップしてご紹介!
かなり個人的な趣味も入っています。


「俺はなんで人間に生まれたんやろ」

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春の夢 新装版

著者名
宮本輝/著
出版社名
文藝春秋
税込価格
913円

亡き父の借財を抱えた大学生・井領哲之の部屋には、釘で柱に打ちつけられても生きている蜥蜴(とかげ)の「キン」がいる――。
恋人・陽子との出会いであったり、陽子が別の男性と付き合って苦悩をしたり、取立て屋に見つかって大怪我を負ったり…。
様々な出来事のなかで、哲之の心は釘で打ち付けられた蜥蜴を意識していく。

ひたむきに生きる大学生の、憂鬱と情熱、そして恋を、一年の移ろいの中にえがいた傑作です。


櫻の樹の下には

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梶井基次郎 1901-1932

著者名
梶井基次郎/著
出版社名
筑摩書房
税込価格
968円

櫻の樹の下には屍体が埋まっている。

代表作「檸檬」が有名な梶井基次郎先生ですが、掌編小説「櫻の樹の下には」が個人的におすすめ。
不治の病だった結核に苦しんだ背景からくる独特の死生観は一読の価値があります。

春に読むなら、全集気分が味わえるちくま文庫版でぜひどうぞ。


日本人は、宗教なしに道徳をどう学ぶのか―。

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武士道 現代語訳

著者名
新渡戸稲造/著 山本博文/訳・解説
出版社名
筑摩書房
税込価格
858円

日本人の精神の根底をなした武士道。
その思想的な源泉はどこにあり、いかにして普遍性を獲得しえたのか?
神道、仏教、儒教のなかに探り、欧米思想との比較によってそれが普遍性をもつ思想であることを鮮やかに示す。

新渡戸稲造さん(五千円札の人)によって書かれた原書は、日本の武士道を欧米に紹介する目的で1900年にニューヨークで刊行され、世界的なベストセラーになったそうです。
セオドア・ルーズベルト大統領が感銘を受け、何十冊も買い込んで友人や家族に配ったというのは有名なお話。

ちなみに、翻訳をされている山本博文先生は、角川まんが学習「日本の歴史」なども監修されているすごい人です。




書いた人:一般書・文庫バイヤーM
イラスト:nocconokko
「ちくま日本文学全集」シリーズの古書っぽい文庫の装丁が好き。

三洋堂書店便りは隔週水曜日更新。
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