こんにちは!記事担当の大野店のさめうさぎです。
今年もやってきました夏の文庫フェア!
この時期になると、新潮社さんの「夏の100冊」、角川書店さんの「カドブン」、集英社さんの「ナツイチ」が、どこの書店さんでも大々的に展開されます。
夏目漱石や太宰治などの古典名作はどの出版社さんからも発売されていますので、この時期ならではの限定カバーで、各社目を引くと思います。
出版社が違うと、装丁にそれぞれの個性が出て、楽しく見比べることが出来ます。
今回は集英社さん「ナツイチ」を担当させていただきます。集英社さんでしか読めない、おススメの作品を紹介いたします。
今年は集英社文庫創刊45周年! 「ナツイチ」も今年で32年目です。
今回のキャッチコピーは「夏の行き先は、本がきめる」。
本は見たことない景色へ、ちょっと不思議な景色へ、まだであったことのない感情へ、連れていってくれます、というメッセージが、込められています。
直木賞作家の描く高校生ミステリー
本と鍵の季節
ある高校の図書室、図書委員の僕、堀川次郎と、同じく図書委員の松倉詩門。利用者の少ない図書室で黙々と作業をしながらつまらない日々を過ごしていた二人のもとに、委員会を引退した3年生の浦上麻里先輩がアルバイトを持ち掛けてきた。「おじいさんの遺した開かずの金庫」の謎を解明して開けてほしいという。先輩の口車に乗せられて請け負ったものの、そこにはとんでもない真相が隠されていた、、、。
短編6話を収録、物語の発端は様々ですが、どのエピソードにもタイトルになっている「本」か「鍵」、もしくはその両方が関わってきます。話は1話完結ですが、その順番で季節が進むにつれて、堀川の知らなかった、松倉のあることがわかっていく展開です。
この本は謎解きミステリーと共に、二人の友情物語とも言えます。はつらつとした輝かしい高校生というよりは、何か少し陰の部分も持ち合わせている二人(わたくしの感想ですが)の関係の微妙な変化を読むのが面白いです。
実はこの本は最後まで読んで、なんか続きがありそうな予感でしたが、現在、「小説すばる」でその続編が連載中なのです。これを読み終えても、続きが読めます!
まずは1冊目を読んでみていただけると嬉しいですね。
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本と鍵の季節
- 著者名
- 米澤穂信/著
- 出版社名
- 集英社
- 税込価格
- 880円
発行は30年以上前、だけど今でも捧腹絶倒
もものかんづめ
静岡県清水が誇る郷土の作家、さくらももこさんのエッセイ。
ちびまる子ちゃんもそうですが、この方のお話は「日常のあるある」が本当によく表現されていると思います。というか、こんなことまで書いてしまって大丈夫?と思ってしまうようなネタまで、仕込まれております。
冒頭から「水虫に冒された16歳の夏」の話です。
面白くないわけがありません。
本当なら隠しておきたいような恥ずかしい話も、全力で打ち明けてくれるので、読む側は、まるで友人と話しているような感じがします。
タイトルが「もものかんづめ」なのは「さくらももこさんのかんづめ」でしょうか。私は「もものかんづめ」と聞くと、病気の時に食べる、あれを思い出すので、モモ缶の美味しさがあるように、ここにも美味しい話がたくさん詰まった一品だと思っています。
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もものかんづめ
- 著者名
- さくらももこ/著
- 出版社名
- 集英社
- 税込価格
- 704円
2022年春に映像化されたこれは本当に泣ける1冊
桜のような僕の恋人
2022年春、Netflixにて公開された映画の原作小説です。
主人公の朝倉晴人は美容師の有明美咲に恋をします。まず初めから、美容師目当てでカットにいき、うっかり耳たぶを切られてしまうなんて、シュールな展開に驚きましたが、晴人の一途な思いがこの先にどんどん現れてきて、ドキドキしながら物語は進みます。
美咲に認められたくて、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指します。そんな彼に美咲もだんだん惹かれていき、やがて恋人同士になりますが、幸せな時間は長く続きませんでした。
美咲が人の何十倍もの早さで年老いる難病「早老病」を発症してしまったからです。
治療する術は無いこの病。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくない、悲しく辛い美咲とそんなことは何も知らない晴人。
ラストは涙が止まりませんでした。本を読んで号泣したい人におススメです。
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桜のような僕の恋人
- 著者名
- 宇山佳佑/著
- 出版社名
- 集英社
- 税込価格
- 814円
二人だから、戦える。2022年8月26日映画公開!
アキラとあきら
横浜流星さんと竹内涼真さんのW主演。
小さな町工場の息子・山崎瑛と、日本を代表する大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬。
同じ社長の息子同士でも、家柄も育ちもまったく違うふたりですが、瑛は子供の時に父の会社が倒産するということを経験しました。
大人になり、入行した産業中央銀行で二人は出会います。互いにぶつかりながらも銀行員として切磋琢磨していきますが、彬は弟の継いだ家業を立て直すため銀行を辞めて、社長になります。
銀行に残る瑛と共に、倒産の危機にある家業を助けるのです。
子供のころの逆境をバネに強い信念で進む瑛と、恵まれた環境にありながらも自らの選択で人生を歩む彬。
二人の生き様がどちらも素晴らしいです。
上下巻700ページ越えの長編ですが、先が気になってどんどん読み進めていけると思います。
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アキラとあきら 上
- 著者名
- 池井戸潤/著
- 出版社名
- 集英社
- 税込価格
- 638円
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アキラとあきら 下
- 著者名
- 池井戸潤/著
- 出版社名
- 集英社
- 税込価格
- 638円
いかがだったでしょうか。このほかにもたくさん作品はあります。
本は人に頼まれて読むものではないので、自分が気になったものを読めばよいと思いますが、簡単には決められなかったり、どういったものが良いか、悩むかもしれません。
そんな時はこんな紹介から選んでいただければ嬉しいです。
今回の「ナツイチ」では、心がしんみりしたい、ハラハラしたい、ワクワクしたい、など感情の赴くところから選んで読めるように、ラインナップされておりますので、ぜひこの夏に出会いたい1冊を選んでみてください。
書いた人:大野店 さめうさぎ
最近は積み読(つみどく)が終わりません。