こんにちは!
歴史と地図と旅行が大好きの 大田川店の雪餅です!
普段は 歴史や趣味の本の記事を書いています。
よかったらサイト内で「雪餅」と調べてみてくださいね。
最近書いた記事
⇒モネと一緒に空を見上げてみよう! 気象の専門家たちが贈る お天気教室!
さて 今回は、真夏に夜にぴったり! おうち読書で妄想旅行を楽しめる小説『夜は短し歩けよ乙女』のご紹介です!
本を読んでいる私の傍を 乙女や先輩たちが駆け抜けていく
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夜は短し歩けよ乙女
- 著者名
- 森見登美彦/〔著〕
- 出版社名
- 角川書店
- 税込価格
- 616円
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町(ぽんとちょう)に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求める。
けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。
先輩と乙女、二人の視点から交互に描いた 恋愛ファンタジー作品です。
独特の文体とこじらせ気味な面々の台詞回し、夢か現実か妄想か分からないファンタジーな世界観に、読めば読むほど引き込まれます。
二人の周りには 個性溢れる賑やかな面々が登場し、珍事件が起こります。
自分も一緒に物語の世界を歩いているような感覚になり、物語の一員として、二人の恋を応援したくなります。
また、この小説は、黒髪の乙女が ひとり酒を求めて夜の町を練り歩く「夜は短し歩けよ乙女」を始めとする 四つの物語で構成されています。
短編集としても続きもののとしても楽しめるので、長く読むのが苦手な人にもお勧めです。
大好きな名言(迷言)5選
『夜は短し』で一番面白いのが、登場人物たちの台詞回し。
演説のようでいてリズミカルな台詞が盛り沢山で、思わず誰かに言いたくなります。
そんな訳で、私の好きな台詞ベスト5をご紹介!
①御縁
「ここで出会ったのも何かの御縁、身の丈に合わないからと言って引き下がるわけには参りません。」
この小説のテーマです。人の御縁は面白い。これがあるから書店員も辞められません。
②阿呆
「わけても男たちというのはどいつもこいつも阿呆であり、彼女の好奇心や優しさを己への好意と勘違いしているらしい短絡的思考の持ち主が多数あった。」
幾つになっても、結婚して子供が生まれても、男の中身は阿呆のままです。
③永久外堀埋立機関
「彼女が後輩として入部してきて以来、すすんで彼女の後塵を拝し、その後ろ姿を見つめるに見つめて数ヶ月、もはや私は彼女の後ろ姿に関する世界的権威といわれる男だ。」
「〇〇の世界的権威」という言い回しが好きで、使う機会を狙っています。
④忙か閑か
「忙しいって言う人間ほど閑なものだ。閑であることに罪悪感を抱くから、やたら忙しいと吹聴したがるんだね。」
「忙中閑あり、閑中忙ありだ。おまえみたいな子どもには、ただブラブラしているように見えるかもしれない。だがそんな時こそ、俺の精神は目まぐるしく活動している。おまえが見ているのは、いわば台風の目にすぎない。」
忙しいは正義、忙しさに快楽を覚える傾向はありますね。先輩の返しも素敵。
⑤自給自足
「私は布団を頭まで引き上げて丸くなり、自分で自分の身体を抱いた。抱いてくれる者も、抱いてやる者のいないがゆえの、やむにやまれぬ自給自足である。」
この発想はなかった。カーズの最期のシーンを思い出します。
ちなみに、角川文庫版の巻末では、漫画家の羽海野チカ先生の大好きなコトバとシーンが、可愛いイラスト付きで紹介されています。
必見です!
『夜は短し』の台詞回しやファンタジーな世界観が気に入ったら、ぜひ前作『四畳半神話体系』も読んでみて下さい。
冴えない大学3回生の私が、ピカピカの1回生に戻ってバラ色の大学生活をやり直すため、さ迷い込んだ4つの並行世界で奮闘する、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦いパラレル青春ストーリー。
自由人の樋口師匠など 共通する人物も出てくるので、『夜は短し』と『四畳半』どちらから先に読んでも楽しめます。
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四畳半神話大系
- 著者名
- 森見登美彦/〔著〕
- 出版社名
- 角川書店
- 税込価格
- 748円
あなたも森見先生が好き! 奇遇ですねえ!
『夜は短し』と『四畳半』を読んで、森見登美彦先生の世界にどっぷり漬かっていった……、そんな あなたにお勧めな本が『総特集 森見登美彦』です。
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森見登美彦 総特集 作家は机上で冒険する! 永久保存版
- 著者名
- 出版社名
- 河出書房新社
- 税込価格
- 1,650円
この本では、森見先生自らの著作解説エッセイと ロングインタビュー、単行本未収録小説が読めます。
また、各界の先生方から寄せられたエッセイや漫画・論考から、書店員有志応援団「まなみ組」の復刻フリーペーパーまで、愛がいっぱい詰まった 読み応えある一冊です。
そして、企画も楽しい!
「森見登美彦をつくった100作品」では、小説の枠を超えた「森見ワールド」を形作った 本や漫画・映画が紹介されていて、そちらも読んでみたくなること間違いなし。
森見登美彦のあゆみ「妄想略年譜」も、読むたびにニヤニヤしちゃいます。
三洋堂書店全店でカドフェス開催中!
夏と言えば、海に祭に花火!ですが、
書店員の夏と言えば「夏の100冊」文庫フェア。
毎年このフェアを飾る時に「今年も夏が来たなあ」と季節を感じます。
今回ご紹介した本を含めた「心に、冒険を。 夏の名作文庫100冊フェア」を三洋堂書店全店で開催中です。
ぜひお立ち寄り下さい。
書いた人:雪餅(大田川店)
歴史や地図、一人旅が大好きの書店員。
青春18きっぷで年3回 鈍行旅行する乗り鉄でもあります。
現在は 乙女に負けず 古地図やGoogle Earthで妄想旅行中です。
学生時代に出会った、学生が主役の小説って、リアルに影響されますよね。
そして隣の人が何を読んでるのかも気になります。
私の場合は、中学1年生の時に森博嗣先生『すべてがFになる』との出会い、「ミステリィ・理数系・大学ゼミ、カッケー!」と大学生活に憧れを胸に抱きました。
そして、森見先生の『太陽の塔』と出会ったのは、自由な大学生活満喫中のまさにその時。
「このままずっとバイト&留年生活しててもいいんじゃない?」と危ない衝動に駆られ、教授とゼミ仲間に心配されることに。
素敵な読書体験でした。