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【熱田図書館コラムVol.17】風変りなアイデアや研究も侮ることなかれ「わらって、考える!イグ・ノーベル賞ずかん」を推す

2025年7月13日 投稿

図書館館長なのに「借りるより買いたい本」を推すシリーズ vol. 17

日々10万冊を超える本に囲まれながら年間2,000冊以上読む図書館館長がどうしても手元におきたくて買ってしまう本とは?

「わらって、考える!イグ・ノーベル賞ずかん」

「変な科学」などイグ・ノーベル賞に関する書籍は沢山ありますが、子供も大人も読みやすく、最新の受賞研究まで掲載されているのはこれ。

まずは歴史を変えた研究をご紹介します。

東西冷戦時代、スウェーデン沿岸の海中で謎の音がたびたび観測されていました。ソ連の潜水艦が近くに潜んでいると不安を覚えたスウェーデン軍は必死に探すが見つからない。
いらだったスウェーデン政府は、ソ連に潜水艦を引き上げよと抗議の手紙を送り付けました。今にも戦争が勃発しそうな緊張状態が続いていたのです。

そしてスウェーデン政府は科学者2人を軍に招へいし、謎の音の解明を依頼しました。

その結果は—  「魚のおなら」。
ニシンという魚は大きな群れで行動し、サメなど敵に追い回されると大量の泡を出して目くらましをする。しかも肛門から。

2人の科学者は海中のニシンの群れが出す音を研究して、謎の音の正体は潜水艦ではなくニシンのおならと結論を出した。
スウェーデンが勝手に思い込んでいたソ連と戦争にもつながりかねない危機は、2人の科学者の研究のおかげで回避されたのです。

この研究に2004年生物学イグ・ノーベル賞が授与されました。もちろん潜水艦の音を研究した科学者と同時にですが。


そもそも「イグ・ノーベル賞」とは、1991年から毎年、「人々を思わず笑わせ、そして考えさせられる業績」を残した人や団体に贈られる賞です。「ignoble=不名誉な」という賞の名前から、役に立たないくだらない研究に与えられる賞と誤解されがちですが、その研究成果は大いに役立っているのです。たぶん。

例えば、2024年受賞の日本人研究家の「おしり呼吸」については、病気等で肺呼吸が困難な患者を救えると期待されています。
日本はイグ・ノーベル賞の常連なので、既に商品として実用化された研究も多くあります。「わさび火災警報器」とか。

この賞の授賞式では決まりごとが多々あり、その一つが面白いスピーチをすることです。

昨年受賞した「しり穴呼吸」研究者のスピーチには思わず「ぷ!」と笑わされました。
—「Thank you so much for believing the potential of anus」って(笑)。

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わらって、考える!イグ・ノーベル賞ずかん

著者名
古澤輝由/監修 清水あゆこ/編集 古澤輝由/執筆 江口絵理/執筆 詫摩雅子/執筆 萩原慶/イラスト SANDER STUDIO/イラスト
出版社名
ほるぷ出版
税込価格
5,280円

熱田図書館長 佐々木

5歳で角膜移植した際、ドクターからの「喫煙禁止」と「読書禁止!」との言葉を忠実に守り続けるも、なぜか現在図書館長。

趣味は合気道、英語学習、旅行、温泉、アニメ、韓流、カラオケ、SNS、読書?
その他テニス、スキューバ、サーフィン、水泳・・・多趣味でキリがありません。

今現在の推しアイドルは、「ILLIT」! かつては「少女時代」。
アフタヌーンティーは日本、英国など有名店を制覇中。
こだわりはスコーン。

文中で登場した作品たち

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ヘンな科学 “イグノーベル賞”研究40講

著者名
五十嵐杏南/著
出版社名
総合法令出版
税込価格
1,430円

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