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【地元作家コラム:雨森たきび 先生】~私と地元~離れて分かるちょっと変な愛知県

2021年7月13日 投稿

まずはご挨拶に代えまして

初めまして、雨森たきびと申します。

第15回小学館ライトノベル大賞でガガガ賞を頂き、『負けヒロインが多すぎる!』でデビュー。愛知県出身の縁もあり、今回三洋堂書店さんのコラムを書かせていただけることになりました。

 

高校を卒業するまで私が育ったのは愛知県豊橋市。静岡県との県境にある東三河の地方都市です。

ここまで読んでくれた地元の方は気になったかもしれません。

豊橋に三洋堂書店はあったっけ……? と。

 

残念ながら豊橋に三洋堂書店の店舗はありません。

だから私にとって三洋堂書店は出かけた時に寄る、いつもと違う書店であり、帰省してきて豊川ICから降りた時、まず寄る書店なのです。

書店って同じに見えてみんな違う

全国の書店には基本的には同じ書籍が並んでいるかと思います。もちろんそうでないと、私の出していただく本も全国の書店に置いてもらえないのですが……

でも、いつもは行かない書店に行ったとき、必ず“違い”を感じると思います。

新刊の置き方、島の作り、もちろんその地域ゆかりの本も置いてあるでしょうし、書店員さんのこだわりの特集コーナー、雑誌の並べ方……

ラノベや漫画のコーナーでも、担当してる書店員さんのお勧めポップに“熱量”を感じると、つい手に取りたくなります。

 

だから豊川ICから降りるとまずは三洋堂書店に寄り、地元の香りを感じつつも旅の気分のまま、帰省中に読む本を選ぶのです。

離れて分かる個性の町

今は両親も愛知から離れ、愛知に立ち寄ることも減りました。

不思議なもので住んでいる時は、豊橋はありきたりな変わったところのない土地だと思っていました。

だけど外に出てみると、卵売り場にウズラの生卵は置いてないし、鬼は白い粉を撒いて練り歩いたりもしないし、市電だってどこにでもあるものではなかった。

どこまでも続いているかのような大きな夜店も出ないし、語尾にだらぁを付ける人もいません。

 

確かに三河の知名度は高くはありません。

愛知の豊橋市出身と言うと相変わらず「名古屋出身なんだ」と言われるし、言われたら「ええまあ、静岡寄りですけど同じ県内です」とノータイムで答えます。

……ちなみに石川県出身の友人は「金沢は行ったことあるけど、石川には行ったことない」と言われたことがあるそうです。それに比べれば些細な話です。

 

名古屋が魅力的な憧れの町であることは承知の上で、Not名古屋の愛知も個性にあふれた楽しい町ばかりだって、住んだことのある人には分かっていますから。

折角なので拙作の紹介など

今回、小学館ガガガ文庫から出して頂く『負けヒロインが多すぎる!』は豊橋市が舞台です。

公募への応募作だったので、特にマーケティングを考えて舞台を選んだのではありません。自分が過ごしたかった青春を自分が高校時代を過ごした町を舞台に書きたかった……という単純な理由です。

青春って劇的ななにかがなくたっていいんです。

深夜に気になる娘と並んで座って、黙って自販機の缶珈琲を飲む―――そんな一幕でも素敵な青春の思い出になるでしょう。

残念ながら私にそんな経験はありませんし、今作にそんなシーンはありませんが……

そして最後に

いまのご時世、気楽に県境を越えて旅行に行くわけにはいきません。

ですが、もう少し状況が落ち着いたら、じっくりと三河を巡る旅をしようとたくらんでいます。

そしてその時には、三洋堂書店さんで『旅先の一冊』を選ばせていただけたら……そんなことを思いつつ。

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負けヒロインが多すぎる!

著者名
雨森たきび/〔著〕
出版社名
小学館
税込価格
836円

『負けヒロインが多すぎる』公式Twitterアカウント

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