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【バイヤーO】の現代ミステリ概論 第7回 メフィスト賞編(上)

2021年3月3日 投稿

ミステリ好き【バイヤーO】の偏愛暴露のお時間です。
第七回はみんな大好き(?)「メフィスト賞」を取り上げます。
1996年の『すべてがFになる』から、2020年刊行の五十嵐律人『法廷遊戯』まで、この賞の冠の元に刊行された作品は62を数えます。

他の新人賞のように、応募期間や賞金、厳密な規定、有名審査員を設けず、小説誌「メフィスト」編集部が投稿作を読み、面白ければ出版するという、いわばマンガ創作で言うところの「持ち込み」を新人賞として制度化したようなスタイルは、その自由さ故に多彩な才能を引き付け、世に出しました。
ミステリが中心ではありますが、ホラー、SF、ファンタジー、ライトノベルに格闘小説、なんでもござれ。
そのアナーキズムが最大の魅力とは理解しながら、一応「現代ミステリ概論」なので、ミステリを中心にご紹介します…それでも十分アナーキーなので。


1200の密室で、1200人が殺される… 破壊神『コズミック』爆誕!!

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コズミック 世紀末探偵神話

著者名
清涼院流水/著
出版社名
講談社
税込価格
1650円

1996年刊行、第二回受賞、清涼院流水(せいりょういん・りゅうすい)作。

「密室卿」を名乗る人物からの予告状の通り、世界各地で連続する密室殺人事件。
一年間で1200人を密室で殺すという空前絶後の犯罪計画に、JDC…日本探偵倶楽部の探偵たちが挑む。

発表直後から、本格ミステリ界隈に毀誉褒貶の嵐を巻き起こした問題作。
事件のスケールも、それぞれ超人的な能力を持つ探偵たちの設定も、キッチュではあっても同時に規格外のものでした。
上記ノベルス版も文庫版も品切れですが、この作品の放つ異様な魅力と、第二回をこの作品に授けたことで「なんでもあり」を印象付けたメフィスト賞が、 以降の本格ミステリに与えた影響を鑑みれば語り落とすわけにはいきません。

でも私は、第二作『ジョーカー』の方が好きです。

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ジョーカー 旧約探偵神話

著者名
清涼院流水/著
出版社名
講談社
税込価格
1601円

クセモノゾーンの最右翼!! 乾(いぬい)くるみ『Jの神話』

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Jの神話

著者名
乾くるみ/著
出版社名
文藝春秋
税込価格
792円

名門女子高を舞台とした連続怪死が、やがてとんでもない方向へ転がっていく、第四回受賞作。

もうこれは読んでもらう以外にない、独特の奇想の炸裂した問題作です。
清涼院以降、蘇部健一→乾くるみ→浦賀和宏→積木鏡介という受賞者ラインナップ、いい意味で正気じゃないですね笑
乾くるみはこれ以降、奇想を若干抑えめにしつつ、しかし絶妙に底意地の悪い作風で活躍しています。特にはブレイク作『イニシエーション・ラブ』。

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イニシエーション・ラブ

著者名
乾くるみ/著
出版社名
文藝春秋
税込価格
693円

仕掛けの見事さにおいては、国内ミステリ史上屈指でしょう。見事すぎて爆笑しました。
これも多くを語れない種類の作品ですので、未読の方は情報遮断の上お楽しみ下さい。


国内本格の精華が宿る… 『ハサミ男』と『火蛾』

第13回受賞・殊能将之(しゅのう・まさゆき)『ハサミ男』と第17回受賞・古泉迦十(こいずみ・かじゅう)『火蛾』。
『すべてがFになる』以降のメフィスト賞において、本格ミステリとして双頭の地位を占める両傑作。

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ハサミ男

著者名
殊能将之/〔著〕
出版社名
講談社
税込価格
968円

『ハサミ男』については別記事でご紹介しています。

そして『火蛾』は、生年のみが明かされている作者の、これまでのところ唯一の作品となっています。文庫化もされていないので、私の本棚にある唯一のノベルスです。

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火蛾

著者名
古泉迦十/著
出版社名
講談社
税込価格
968円

十二世紀の中東。聖者たちの伝記録編纂を志す作家・ファリードは、取材のため、アリーと名乗る男を訪ねる。男が語ったのは、姿を顕わさぬ導師と四人の修行者たちだけが住まう山の、閉ざされた穹廬の中で起きた殺人だった。

こうやって梗概を写しているだけでもゾクゾクしてきますね…おそろしく研ぎ澄まされて深遠な本格ミステリです。
イスラム神秘主義という不可知を描いた、ペダンティックな世界観に魅せられた者として、中華神仙思想を題材として構想が語られていた『崑崙奴』という次回作を、ずっとずっと待っているのですけど。

でもまだ待てるだけいいですね…殊能先生の次回作は、もう待つことができないので。痛恨です。


まだまだ17/62!! 次回に続く…

R.I.P.でしんみりしてしまったからではなく、一回ではご紹介しきれないため、次回に続きます…。


※商品は各店舗でも取扱い中です…と言いつつ、今回は品切れも多いですね。

書いた人:バイヤーO
ミステリ好きバイヤー。
メフィスト賞の「第0回受賞者」と呼ばれるあの作家を、どのタイミングで紹介しようか思案中…

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