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「人のやさしさが感じられる本、集めました」近江八幡店 書店員かわほたるのイチオシ5選!【カドブン夏フェア 2022】

2022年6月14日 投稿

こんにちは!近江八幡店のかわほたるです。

汗ばむような気温の日も増え、夏が近づいていると感じますね。

書店での夏の一大イベントと言えば、「夏の文庫フェア」です。

 

みなさんも、書店に行くと毎年必ず目にされていると思います。

思えば、私が書店員になって初めて任せられた大きな仕事が、夏の文庫フェアづくりでした。

お客様の目を引くよう、ああでもない、こうでもないと並べる順番を考えたり、飾り付けを考えたり、

まさしく書店員の醍醐味が味わえる時間でした。

そんな夏の文庫フェアのうち、KADOKAWAの文庫フェア、「カドブン夏フェア2022」について紹介したいと思います。

今年は『すずめの戸締り』とコラボ!

毎年文庫フェアのラインナップがどんな商品なのかとともに、どんなプレゼントがもらえるのか楽しみですよね。

今年はなんと!2022年11月11日(金)公開予定の新海誠監督の最新作映画、『すずめの戸締まり』とコラボした

ポスターやブックカバー、図書カードNEXT、ムビチケ前売り券GIFTを抽選で合計500名様にプレゼント。

 

詳しくはこちら

⇒カドブン夏フェア2022 公式サイト

 

『すずめの戸締まり』は、「日本全国に出現する不思議な扉を閉じるため、少女・すずめが各地を旅する物語」だそうです。

未知の世界につながる「扉」と、見たことのない・経験したことのない物語の世界に連れて行ってくれる“本”という「扉」。

今回のフェアは「新しい扉」である本との出会いになれば、という思いが込められているそうです。

そんな「新しい扉」を開くべく、私のおススメ5作品を紹介したいと思います。

人のやさしさが感じられる本、集めました

結婚から始まる、和風シンデレラストーリー

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わたしの幸せな結婚

著者名
顎木あくみ/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
682円

顎木あくみ(あぎとぎあくみ)先生による、明治・大正時代を意識した、和風世界を舞台とした王道シンデレラストーリーです。

 

名家に生まれるも、異能を持たないため義母や義母妹から使用人として扱われ、虐げられて育ったため自己肯定感の低い主人公の美世(みよ)

虐げられ、傷つくことに慣れた美世の姿は、見ていて痛々しくなるほどです。

そんな美世が嫁入りを命じられたのが、異能持ちの名家の当主で、冷酷無慈悲と噂される清霞(きよか)

大勢の婚約者候補が、三日と持たずに逃げ出す人物です。

初対面では美世に辛く当たった清霞ですが、美世の境遇を知り、他の婚約者候補とは違う様子に、次第に心惹かれていきます。

そして美世も、清霞の示す不器用な優しさと愛情に触れ、少しずつ心の距離を縮めていきます。

 

このお話は、ピュアなラブストーリーであり、美世の成長の物語でもあります。

また、「異能」というファンタジー要素もあり、異能バトルものとしても楽しめます!

 

とにかく美世がけなげで応援したくなる!そして清霞とのやりとりに、心がキュンとすることうけあいです。

高坂りと先生によりコミカライズもされています。こちらも繊細で美しい描写でストーリーが忠実に描かれており、とってもおススメです。

また、この作品はアニメ化や、2023年に目黒蓮さんと今田美桜さんのキャストで映画化も決まっており、今読んでおいてほしい作品です。

「和風」×「恋愛」が読みたいなら、こちらもおススメ!

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龍に恋う 贄の乙女の幸福な身の上

著者名
道草家守/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
704円

米澤穂信の「古典部」第一作

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氷菓

著者名
米澤穂信/〔著〕
出版社名
角川書店
税込価格
572円

『黒牢城』で第166回直木賞を受賞した、米澤穂信(よねざわほのぶ)先生のデビュー作です。

 

この作品は「古典部」というシリーズの第1作目になっており、『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』『ふたりの距離の概算』『いまさら翼といわれても』と6作続いています。

2012年には京都アニメーションによりアニメ化もされており、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

舞台となる、文科系部活動が盛んなことで有名な進学校「神山高校」は、米澤先生が通っていた岐阜県高山市にある実際の高校がモデルになっています。

実は米澤先生は、三洋堂書店高山店でアルバイトをしている時にこの本で作家デビューされました。

三洋堂書店にとってこの本は、ぜひ!推したい一冊なのです。

 

『氷菓』は爽やか「日常系ミステリー」です。

主人公・奉太郎はなりゆきで入部した古典部の仲間に依頼されて、身近にある不思議な謎を解いていきます。

人が死なないミステリーなので、殺人事件が起きるミステリーは苦手、という方でも読みやすいです。

そして古典部に集まる4人が、とにかく個性的。

主人公「折木奉太郎(おれきほうたろう)」は「省エネ」がモットー。

「やらなくていいことはやらない。やらなければいけないことは手短に。」というくらい消極的な性格で、「灰色の高校生活」を送っています。

主人公の友人「福部里志(ふくべさとし)」は自らを「データベース」と言い切るほど、雑学に長けた人物です。

千反田える(ちたんだえる)」は一見清楚なお嬢様ですが、「わたし、気になります」が口癖の好奇心の権化。

伊原摩耶花(いばらまやか)」は「七色の毒舌」を持つ女子です。

 

そんな四人が33年前の『氷菓』という文集に秘められた真実にたどり着いた時、残るのは…

タイトル『氷菓』に込められた想いと意味を、ぜひその目で確かめてみてください。

「高校生の青春」そして「美しい文体」に酔いしれたいなら、こちらもおススメ!

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小説言の葉の庭

著者名
新海誠/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
748円

じわりじわりとくる怪異譚

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営繕かるかや怪異譚

著者名
小野不由美/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
660円

アニメ化もされた『十二国記』シリーズや『ゴーストハント』シリーズの、小野不由美(おのふゆみ)先生の短編怪奇小説です。

 

旧城下町の古い町屋に、様々な事情で越してきた人たちに起こる怪異。

最初に違和感を感じて怪異に気づくことで、じわり、じわりと怪異が近づいてくる描写がとにかく怖い!

古い家屋の様子や状況が丁寧に説明されることで、恐怖感がいや増します。

「何度閉めても開いてしまう襖」「屋根裏から聞こえる足音」など、実生活でもありえそうなところがじわじわきます。

 

そんな怪異に対して、「祓う」のではなく、建造物を「営繕(=建造物の新築と修繕)」することで折り合いをつけていくのが「営繕かるかや」の尾端(おばな)です。

怪異の原因には、人の悲しい過去があったりします。害を為すものを問答無用に祓うのではなく、怪異をそのままに受け入れられる形で共存していく。

人に対しても怪異に対しても優しさが感じられる解決方法で、ホラーですが最後には希望や救いが感じられる、不思議な読後感の小説です。

この作品は怖いだけではない、「心ふるわす恐怖と感動の物語」となっています。

「小野不由美先生のホラー」が読みたいなら、こちらもおススメ!

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ゴーストハント 1

著者名
小野不由美/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
792円

優しい医療ミステリー

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祈りのカルテ

著者名
知念実希人/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
704円

天久鷹央の推理カルテ』シリーズや『仮面病棟』などの「病棟シリーズ」など、数多くの医療ミステリーを世に出している知念実希人(ちねんみきと)先生の作品です。

 

主人公、研修医・諏訪野良太(すわのりょうた)は2年間の研修期間中に様々な科を回ります。

そこで出逢った様々な問題を抱える患者たちに向き合い、謎を解き明かしていく医療ミステリーとなっています。

 

知念先生は実際の医師であり、研修医時代の経験などを元に描かれている部分もあって医療現場の描写がリアル。

精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科で主人公を指導するドクターたちも個性豊かで、こんな先生がいそう!という人物像になっています。

 

この作品の最大の魅力は、主人公・諏訪野の人柄です。コミュニケーション能力が高く、人の感情の変化を読み取るのが得意。

その能力で患者の心に真摯に寄り添い、患者の抱える謎と頑なに閉ざした心を解き明かしていく姿に、心温まります。

怪我をした時、病気をした時、ただ治療をするだけではなく、心に寄り添ってくれる諏訪野のような医師がいて欲しい!

とはいえ、各科のドクターから「優秀だけど、自分の科には向いていない」と言われてしまう諏訪野。

そんな諏訪野が最後に選んだ科と、その理由とは—。

「医療」×「ミステリー」が読みたいなら、こちらもおススメ!

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使命と魂のリミット

著者名
東野圭吾/〔著〕
出版社名
角川書店
税込価格
792円

有川ひろの魅力が詰まったエッセイ 第2弾

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倒れるときは前のめり ふたたび

著者名
有川ひろ/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
792円

『図書館戦争』シリーズや、『阪急電車』、『植物図鑑』、『三匹のおっさん』シリーズなど、数多くのアニメ化、映画化やドラマ化された作品を生み出している、有川ひろ(ありかわひろ)先生のエッセイ集第2弾です。

 

2019年に「有川浩」から「有川ひろ」へ改名されている有川先生ですが、その理由が語られます。

有川先生はデビュー当時「浩」を「ひろし」と読まれ、男性に間違われることが多かったそうです。

ですので改名の理由はそれかな、と個人的に思っていたのですが、そこには意外な理由が。

先生の「ご縁」を大切にする気持ちが伝わってきました。

 

他にも児玉清さんとの対談や、書店や図書館、読書感想文についての想いなどを語っています。
また「コロボックル物語」を引継ぐことになった経緯や、有川先生が愛し、影響を受けた本への想いも綴られていて、有川先生を形作るものが見えてくるのも面白いです。
エッセイ集第1弾の『倒れるときは前のめり』に収録された短編、「彼の本棚」と対になるお話「彼女の本棚」が収録されているのも嬉しい!
本好きとしては、こんな出会いがあると素敵!とニヤニヤしてしまいます。
また『県庁おもてなし課』のサイドストーリー「サマーフェスタ」が収録されています。こちらは少しほろ苦い内容ですが、田舎の就職事情について考えるきっかけになりました。
「有川ひろ」先生の想いや考えがいっぱい詰まったエッセイ集、ぜひお手に取ってみてください。

「有川ひろ先生のエッセイ」をもっと読みたいなら、こちらもおススメ!

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倒れるときは前のめり

著者名
有川ひろ/〔著〕
出版社名
KADOKAWA
税込価格
748円

いかがでしたでしょうか。

みなさんの「新しい扉」は開けましたか?

開くだけで、まったく違う世界に飛び込めるのが、本の最大の魅力だと思います。

今回ご紹介した以外にも、色々な「扉」がありますので、ぜひお手に取って楽しんでみてくださいね。

 

書いた人: かわほたる(近江八幡店)

実家の裏の川で蛍が飛んでいます。蛍の放つ美しい光に、はかなさと力強さを感じます。

今しかできないことを精一杯やらないと、なんて真面目なことを考えてみたり。

 

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