menu open

【熱田図書館コラムVol.7】大人になるため生と死を繰り返す生命体「雪虫」を推す

2025年2月9日 投稿

図書館館長なのに「借りるより買いたい本」を推すシリーズ vol. 7

日々10万冊を超える本に囲まれながら年間2,000冊以上読む図書館館長がどうしても手元におきたくて買ってしまう本とは?

「雪虫」

北海道に生息する「雪虫」。正式名称は「トドネオオワタムシ」。

以前、道民の知人から「集団で目や口に飛び込んでくる鬱陶しい虫」と聞いたことがありました。そんな迷惑な虫なのか程度にしか記憶にありませんでした。――この本を読むまでは。
 
生まれて大人になるまでにこれほど試練を背負って進化した生命体が日本にいるのかと驚愕すると同時にその生態は謎すぎです。

卵から成虫になるまでの過程は想像を絶します。
SF小説に登場するような他の惑星の生物ではないのかとさえ疑ってしまいます。何しろこの虫何度も死にますから。

天敵に追い詰められたり、極限状態を生き抜くために他の生物にありがちな死んだふりとか仮死状態とかではなく、言葉通り死にます。
そして誕生します。生と死を繰り返します。ただ大人になるために――意味不明です。
アブラムシも生死を繰り返すところは共通していますが、「雪虫」のようなメタモルフォーゼはありません。

人生の意義や逆境を乗り越える啓発本や哲学書は多々ありますが、そんな堅苦しく難解な書籍を読むよりも「雪虫」を手に取ってください。フォトブックなので写真を見ながらすぐに読み終えられます。

「雪虫」をどうとらえて何を感じるかは人それぞれですが、きっと何でもない一日にも大きな意味があると思ってしまうでしょう。私たちは人ですから。たぶん。

人生で辛い体験をしたら真っ先に「雪虫」を読み返してください。少なくとも「雪虫」を読んでいる時点であなたは間違いなく生きているのですから。

図書館には病気や虐待、詐欺、事故、性など多様な問題に対応する書籍がたくさんあります。
ここで敢えて「性」をあげた意味は「雪虫」を読めば分かります。また様々な相談機関の案内も配架していますので、困ったときには図書館へふらりとお寄りください。残念ながら「雪虫」はいませんが。

ちなみに「へんないきもの」や「ざんねんないきもの事典」等という書籍も私の書棚にあります。こちらは抱腹絶倒間違いなしで気分転換に最適です。

「雪虫」はこちら

↑↑↑タップで詳細・注文へ↑↑↑

雪虫

著者名
石黒誠/文・写真
出版社名
福音館書店
税込価格
1,430円

熱田図書館長 佐々木

5歳で角膜移植した際、ドクターからの「喫煙禁止」と「読書禁止!」との言葉を忠実に守り続けるも、なぜか現在図書館長。

趣味は合気道、英語学習、旅行、温泉、アニメ、韓流、カラオケ、SNS、読書?
その他テニス、スキューバ、サーフィン、水泳・・・多趣味でキリがありません。

今現在の推しアイドルは、「ILLIT」! かつては「少女時代」。
アフタヌーンティーは日本、英国など有名店を制覇中。
こだわりはスコーン。

文中で登場した作品たち

↑↑↑タップで詳細・注文へ↑↑↑

へんな生き物ずかん

著者名
早川いくを/著 今泉忠明/監修 ひらのあすみ/イラスト
出版社名
ほるぷ出版
税込価格
3,960円

↑↑↑タップで詳細・注文へ↑↑↑

ざんねんないきもの事典 おもしろい!進化のふしぎ

著者名
今泉忠明/監修 下間文恵/絵 徳永明子/絵 かわむらふゆみ/絵
出版社名
高橋書店
税込価格
990円

この記事は役に立ちましたか?

6