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9月のオススメ3作 《第69回 三洋堂書店便り》

2023年9月8日 投稿

こんにちは、一般書・文庫バイヤーのMです。

ありがたいことに、職務上商談や出版社への訪問で稀に東京へ出張させていただくことがあります。
緊張します。
文芸書や文庫の仕入れを担当させていただくようになって随分経つので、さすがにTOKYOの都会のど真ん中でベコ飼うのは無理だなということはわかるようになってきましたが、それでも未だに緊張します。
特に老舗の出版社だと歴史を感じさせる荘厳で立派な応接室やサロンに通されたりするので、田舎者と悟られないようにするだけで大変だったりします。昔、偉い人との商談であまりに緊張しすぎて何を話題にすればいいかわからなくなり、たまたま目についた応接室の立派な石像を指差して、
「あぁ、大理石ですね。いいですよね、大理石。アテネですね」
などと、わけのわからない台詞を言い放ったことがあります(実話です)。
直後に流れる微妙な空気。溢れ出る脇汗。都会の洗礼を初めて全身に浴びた瞬間でした。

それはさておき。
9月に入って、朝夕は脇汗をかくことも徐々に減ってきましたね。
読書がしやすい季節になりつつありますので、今月はジャンルを問わずおすすめの3作品をご紹介します!


これは、たったひとりの「あなた」への物語

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著者名
西加奈子/著
出版社名
河出書房新社
税込価格
1,540円

2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。

カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。

見つけてくださってありがとうございます。

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近畿地方のある場所について

著者名
背筋/著
出版社名
KADOKAWA
税込価格
1,430円

近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。

行方不明になった友人の目撃情報を募るため、著者が雑誌記事を中心に様々な媒体・メディアから引用抜粋する形で物語は進行する。
少女失踪事件に関する週刊誌報道。
ネットの匿名掲示板に投稿された怖い話。
おかしな読者からの手紙……。
それらを『近畿地方のある場所について』というタイトルでまとめ、WEB上で情報提供を呼びかけていく。
だが、これらの怪談と近畿地方のある場所には恐ろしい事実が隠されていて―。

"怖すぎる"とネットで話題になった本作が遂に書籍化です!


人生の醍醐味は寄り道にあり。

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最後はなぜかうまくいくイタリア人

著者名
宮嶋勲/著
出版社名
日本経済新聞出版社
税込価格
825円

アポの時間は努力目標。
嫌なことは後回しでよい。
一度にふたつのことはしない。
商談より食事が大切。
それでも、結果が出るのはなぜ―?

私たち日本人とは対極のイタリア人の国民性を、著者が体験したエピソードとともに紹介。
本書を読めば、小さな悩み事にクヨクヨするのがどうでもよくなります!




書いた人:一般書・文庫バイヤーM
イラスト:nocconokko

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