「馴染みの店」が欲しい!!
馴染みの店、という憧れ
仕事終わりにぶらっと立ち寄る。わたしが店に入ると大将が、
「いらっしゃい!」
わたしはいつものカウンター席に腰掛けると、何も言わずとも、テーブルには瓶ビールが出てくる。
若い頃、わたしはそんな「馴染みの店」にたいそう憧れた。
しかし、この歳になるまで「オレの馴染みの店」を未だ作れていない。その理由はなんとなくわかっている。
「ひとりで外食するの苦手」
致命的である。
「コンビニでビスコを買い続ける」という実験
本著では、タイトルの通り「コンビニで100日間、同じ商品を購入し続けることで、コンビニ店員からあだ名をつけられるのか」という実験の検証とその記録である。
そして、著者が100日間買い続ける商品に選んだのは『ビスコ』(江崎グリコ)
奇をてらいすぎず、かと言って平凡過ぎないチョイス。目立つ赤いパッケージ。何より坊やの笑顔、かわいい。
100日間毎日、コンビニで「ビスコ」を買う、というだけでも、かなりの「ビスコ好き」でなければ心折れそうであるが、著者はこの実験の検証結果の信憑性を高めるために、比較対象としてコンビニ3店舗でこの実験を実施する。ビスコ100日間×3、著者のこの実験にかける情熱に敬意を表したい。
で、「あだ名」はつけられたのか?
当初この実験は書名にある通り「あだ名」をつけられるか否か、という点に焦点が当てられていたが、毎日コンビニに通ううちにひとりの顧客と店員という間柄に変化が生まれる。
著者に対して、はじめは気だるい態度だったコンビニ店員と冗談を交えた会話をするようになったり、コンビニ店員に「ビスコ」を切らしていることを詫びられたり…そう、それはまさしくわたしが憧れていた「馴染みの店」の光景。
大都会の砂漠の中のオアシス。「馴染みのコンビニ」というのも悪くないかも。
書いた人:熊猫(よもぎ店)
万年腰痛持ちの書店員。好きなビスコは「発酵バター味」
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100日間おなじ商品を買い続けることでコンビニ店員からあだ名をつけられるか。 ビスコをめぐるあたたかで小さな物語
- 著者名
- 与謝野/著
- 出版社名
- 光文社
- 税込価格
- 1,100円