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【2022年過去ログ②】NHK大河ドラマ 鎌倉殿のお薦め本 ~弐ノ巻~

2022年3月14日 投稿

こんにちは!
歴史と地図と旅行が大好きの 大田川店の雪餅です!

2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
脚本は「真田丸ブーム」を作った三谷幸喜さん、主演は小栗旬さんということで放送前から盛り上がっています。
本記事では、鎌倉殿をより楽しむための歴史本を、毎週の放送と合わせてご紹介します。

本の画像をクリックすると、そのままネット注文できます。
三洋堂書店での受け取りなら、手数料&送料は無料です。

【最終更新:2022/3/14】

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室町時代のお薦め本も紹介しています。良かったら見て下さい。
『新九郎、奔る』『逃げ上手の若君』 漫画界に「室町ブーム」が到来!?

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第6回「悪い知らせ」


大庭景親(國村隼)率いる平家方の前に大敗を喫した源頼朝(大泉洋)の一党。
この合戦で、北条家を引っ張ってきた宗時(片岡愛之助)ら有力な坂東武者が戦死。
敵の追撃から必死に逃れる頼朝は、信頼する従者・安達盛長(野添義弘)らとともに石橋山山中に身を潜める。
一方、兄・宗時の熱い想いに決意を新たにした義時(小栗旬)は、再起を図るべく父・時政(坂東彌十郎)とともに甲斐を治める武田信義(八嶋智人)のもとへ向かった――。

「坂東武者の世をつくる。そして、その天辺に北条が立つ。」
この兄宗時の志が、頼朝の鎌倉幕府を経て、時政&義時が鎌倉北条氏の時代を作ったかと思うと感慨深いですね。
梶原景時(中村獅童)や和田義盛(横田栄司)など十三人の合議制メンバーも揃ってきました。
清廉潔白イメージの強い畠山重忠も、コントができる中川大志さんを配したあたり、違った側面も演じてくれそうで楽しみです。

さて今週は、頼朝さんが歩かされまくった「三浦半島」に因み、司馬遼太郎先生の『街道をゆく42 三浦半島記』をご紹介。

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『街道をゆく』は、日本民族と文化の源流を探り、風土と人々の暮らしのかかわりを訪ねる旅行記です。
25年間の連載で全43巻が刊行され、司馬先生のライフワークともいえるとても読み応えのある作品です。
42巻目の『三浦半島記』では、武家政権が生まれた地「鎌倉」と、軍港として造船の町として昭和海軍を支えた「横須賀」を中心に、三浦半島を巡っています。

「この時代から日本らしい歴史がはじまると極論してもいい」
歴史作家ならではの視点から、武士の源泉と頼朝の役割、鎌倉幕府の成立についてたっぷり語られていて、鎌倉殿の13人の副読本としてお勧めです。
また、この本を読んだ後に実際に現地に赴けば、いつもとは違った鎌倉の景色に出会えます。


⇒『街道をゆく』シリーズのご注文はこちら


⇒『街道をゆく』公式ページ(朝日新聞出版)

第7回「敵か、あるいは」


平家に幽閉された我が身を嘆く後白河法皇(西田敏行)。
平清盛(松平健)から挙兵した源頼朝(大泉洋)が石橋山で大敗したと知らされ、悔しさで顔がゆがむ。
その頃、房総半島で再起を図る頼朝は有力豪族を味方に付けようと、千葉常胤(岡本信人)のもとへ安達盛長(野添義弘)を、上総広常(佐藤浩市)のもとへ和田義盛(横田栄司)と北条義時(小栗旬)を送り込む――。

「お前の連れてきた軍勢を見た。敵に回ればこれほど恐ろしいことは無い。」
「しかし、だからどうした!」
「礼儀を知らぬ者とは天下草創の志を同じゅうできん。」
「帰れ!」

不倫して逃げ回った後とは思えない、大軍勢を持つ相手に見事な啖呵を切りました。
来週は調子に乗りすぎるみたいですが、、自らの言で上総広常を勧誘できたかと思うと、それも止む無しかもですね。

今週はそんな多面的な魅力を持つ源頼朝の小説をご紹介。
といっても、読了した5作品の中でですが、
一番のお薦めは 山岡荘八先生の『源頼朝』(全3巻)です。

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1巻は、平治の乱に初陣した13歳から池禅尼に出会うまで。
2巻は、伊豆への配流、八重姫との悲恋、北条政子との結婚まで。
↓ ★鎌倉殿はいまココ!
3巻は、頼朝の挙兵から木曽義仲の戦死まで。

テンポの良い物語構成で、会話劇も多く、3巻目まで一気に読めます。
源義経へ同情的な判官贔屓がなく、頼朝を少年期から客観的に描いている点も魅力です。
物語も義経の活躍や頼朝との確執の前に終わります。
また、頼朝の父・義朝の最期など大河ドラマ開始前の出来事も描かれているので、「鎌倉殿の13人」と合わせて読めば、源頼朝という人物像をより深く知ることができます。

第8回「いざ、鎌倉」


上総広常(佐藤浩市)らを加え勢いを増す源頼朝(大泉洋)は、鎌倉を目指して進軍。
頼朝の命を受けた北条義時(小栗旬)は、武田信義(八嶋智人)を味方に引き入れるため、再び甲斐へと向かう。
一方、奥州をたった源義経(菅田将暉)は、兄・頼朝との対面を夢見て歩みを進めていた――。

「今日からお前らも武衛(ぶえい)だ。みんな武衛だ。」
「さあ、武衛同士、飲もうぜ!」
軍内の不満を解消するため、頼朝は豪族たちの酒席にしぶしぶ顔を出します。
深酔いして「頼朝」と呼び捨てをし始めた広常に対し、三浦義村(山本耕史)はとっさの機転で広常に「武衛」という呼び方を提案。
広常には唐の国における親しい人の呼び方と伝えましたが、実は「佐殿(すけどの)」より敬う呼び方だった。
頼朝と広常のすれ違いコント。
あれ? え? ま、いっか。これぞ飲みニケーション!

今週は、そんなお酒にまつわる歴史本をご紹介。
発酵の専門家 小泉武夫先生の『日本酒の世界』です。

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縄文時代中期のデンプン酒に始まり、農耕の神に捧げた弥生時代。
平安時代から熱燗を嗜み、戦国の世では酒で契りを交わし、江戸時代には新酒を求めて番船競争まで繰り広げる――。
奈良時代の『日本書紀』『風土記』、平安時代の『延喜式(えんぎしき)』などの史料をもとに、当時の酒の味や嗜み方、神の酒から人の酒への変遷などを考察しています。

長い歴史を持つ日本酒の豆知識も盛りだくさん!
例えば、鎌倉殿の時代の「酒の肴(さかな)」は必ずしも食べものではなく、衣類や武具などの引出物をさしていました。
酒宴の出し物である、歌や舞も「肴」「肴舞」と読んだとか。
他にも「太平の世は辛口が、乱世や不景気では甘口が流行る」の論拠など。

お酒好きの方は、酒の肴に是非読んでみて下さい。

第9回「決戦前夜」


ついに鎌倉入りを果たした源頼朝(大泉洋)の一党。
敵対した平家方を捕らえるため、頼朝は競わせるように和田義盛(横田栄司)と畠山重忠(中川大志)を派遣。
これを知った北条義時(小栗旬)と三浦義村(山本耕史)は、祖父の伊東祐親(浅野和之)と八重(新垣結衣)を救うため急ぎ伊東へと向かう。
そのころ、都を出た平家の追討軍が東海道を進軍。
甲斐では、出陣を約束した武田信義(八嶋智人)が義時の父・時政(坂東彌十郎)に――。

「坂東武者にとって何より大事なのは所領と一族。
それを守るためなら死に物狂いで戦う。
清盛が憎いからじゃねぇ。己の所領がかかっているから戦うまで。」

北条時政のお茶目さとカッコよさのギャップがたまらないですね。
富士川の戦いの討伐軍撤退理由は、諸説紛々として分かりませんが、親父たちのじゃれあいが歴史を動かしたのかも?という妄想もまた楽しいです。

今週は、坂東武者の生き様を描いた時代小説を1冊ご紹介。
乾浩先生の『坂東武者-八人の武者たちの矜持-』です。

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古代末期から中世半ばにかけて坂東の地に生き、それぞれの土地に依拠して土を耕し、武芸を磨き、その土地を守るために命を賭けた八人の武者。
①平高望の坂東下向
②不動明王上陸-寛朝の平将門調伏-
③平忠常蹶起す
④安房の頼朝
⑤圓城寺日胤
⑥上総介広常の誅殺
⑦畠山一族の滅亡
⑧神道流の開眼-飯篠長威斎家直-
自らの所領を守るため、中央(京都)の公家政権からの自立するため闘った彼らを生き生きと描き出していて、読んでいて胸が熱くなります。
8本の短編小説なので読みやすく、歴史は好きだけど小説をちょっとという方にもお薦めです。

戦国時代に飛びますが、乾先生の次作『宇賀島水軍伝』もまた面白いです。
山口県の周防大島を拠点にした宇賀島水軍の物語。
『村上水軍の娘』を読み終えた後は、是非こちらも読んでみて下さい。
(どちらもドラマ化して欲しい……!)

第10回「根拠なき自信」


平家の追討軍を見事に退けた源頼朝(大泉洋)。
これを聞いた後白河法皇(西田敏行)はほくそ笑み、平家の総帥・清盛(松平健)は都を京へ戻すことを決断。
奥州の覇者・藤原秀衡(田中泯)は義経(菅田将暉)の文を一読し、静かに源平の様子をうかがう。
そんな中、鎌倉では八重(新垣結衣)が侍女として頼朝のそばで働き始めるが、北条義時(小栗旬)の気づかいに亀(江口のりこ)が疑念を抱くなど、それぞれの思惑が入り乱れていた――。

「経験もないのに自信もなかったら何もできない。」
「この九郎義経、戦に出たらだれにも負けませぬ!」

後に軍略の天才と呼ばれる源義経も、今の頼朝軍の中ではまだまだ若輩者。
断崖絶壁の金砂山攻略戦で「崖下に目が向いている敵を頂上から攻める」妙案を具申し、頼朝らに受け入れられますが、その直後に上総広常が金砂城に詳しい佐竹義季の勧誘に成功したため、義経の策は実行に移されませんでした。残念!
兄の頼朝とすれ違いも多く、後々まで尾を引きそうな性格ですね。
(そして後白河法皇や藤原秀衡、義時たちにいい様に操作されそうです。)

今週は、上総広常さんに見事な斬られて開戦の口火となった佐竹義政(平田広明!)を始めとする佐竹氏の歴史を楽しめる本をご紹介。
佐々木倫朗先生&千葉篤志先生 編集の『戦国佐竹氏研究の最前線』です。

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実は今回の金砂山の合戦では、臨時構築した砦をひとつ攻め落とされただけで、佐竹方の被害は軽微でした。
奥州との境まで一旦退きますが、その後も、常陸(茨城)の地で約十年に渡って頼朝に抵抗し続けていました。

この本では、十人の研究者によるオムニバス形式の本で、各時代ごとに章立てされています。
佐竹氏が成立した平安後期から始まり、頼朝との対立や奥州攻めを経て幕府の御家人となった鎌倉時代、足利尊氏に呼応して守護として力を強めた室町時代、数々の合戦に勝利し豊臣政権下では五十四万石の「東関東の盟主」と呼ばれた戦国時代、関ヶ原の戦いの後に秋田二十万石の減転封となった江戸初期まで。
実に500年間以上の佐竹氏の歴史が書かれていて、とても読み応えのある作品です。

いざ、鎌倉へ(東国旅行は難しそうだなぁ)

如何でしたでしょうか。

大河ドラマは、登場人物がたくさんいてとても賑やかですね!
ニッチな人物が登場する度に、本やネットで調べてみたり。
歴史好きの至福の1年です。

私の趣味全開の大田川店では、室町時代と戦国初期が合体した「中世日本史フェア in 東国」を半永久的に展開中です。
ちょこちょこ中身を入れ替えてますので、お近くの方は是非見に来てください。
北条時行(逃げ上手の若君)と北条早雲(新九郎、奔る)。
二人の北条氏も、いつか大河ドラマになることを願って 人

書いた人:雪餅(大田川店)
歴史や地図、一人旅が大好きの書店員。
青春18きっぷで年3回 鈍行旅行する乗り鉄でもあります。

鎌倉は歴史観光で五度ほど訪れていますが、見どころが多く、まだまだ廻りきれていません。
コロナの波が落ち着いた頃には、『街道をゆく』や『るるぶ鎌倉殿』を読み返しながら、またゆっくり歩きたいですね。

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