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【2022年過去ログ⑧】NHK大河ドラマ 鎌倉殿のお薦め本 ~捌の巻~

2022年10月24日 投稿

こんにちは!
歴史と地図と旅行が大好きの 大田川店の雪餅です!

2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
脚本は「真田丸ブーム」を作った三谷幸喜さん。
様々な史料の説を絡めたオリジナルストーリーです。

本記事では、鎌倉殿をより楽しむための歴史本を、毎週の放送に合わせてご紹介します。

本の画像をクリックすると、そのままネット注文できます。
三洋堂書店での受け取りなら、手数料&送料は無料です。

【最終更新:2022/10/24】

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室町時代のお薦め本も紹介しています。良かったら見て下さい。
『新九郎、奔る』『逃げ上手の若君』 漫画界に「室町ブーム」が到来!?

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第36回「武士の鑑」

深まる北条時政(坂東彌十郎)と畠山重忠(中川大志)との対立。
りく(宮沢りえ)を信じる時政は、源実朝(柿澤勇人)の下文を得て御家人を招集。
三浦義村(山本耕史)、和田義盛(横田栄司)、稲毛重成(村上誠基)らが集い、対応を協議する。
一方、手勢を率いて鎌倉を目指す重忠。
板挟みとなった義時(小栗旬)は、政子(小池栄子)、時房(瀬戸康史)らと事態の収拾を図る。
そんな中、父・義時を心配する泰時(坂口健太郎)は――

「ここで退けば、畠山は北条に屈した臆病者として誹りを受けます。
最後のひとりになるまで戦い抜き、畠山の名を歴史に刻むことに致しました。」
「もうちょっと生きようぜ。楽しいこともあるぞ。」
「最早今の鎌倉で生きるつもりはない。
命を惜しんで泥水をすすっては末代までの恥。」
「その心意気、あっぱれ!
あとは正々堂々、戦で決着をつけよう。」
「手加減抜きで。」
「武士なら当然よぉ。」

初代執権・北条時政の謀略によって、謀反の疑いをかけられ、幕府軍に討伐される畠山重忠。
最期は義時と殴り合い、勝利を納めます。

この畠山重忠の乱により、時政は御家人たちの信用を失いました。
今回の義時は、先手を打って姉の政子と協議し、父時政の失墜を画策しました。
そして自分は“すぐには”執権にならない。
恐ろしい人になりましたね。

今週は、畠山重忠の一生が分かる歴史本をご紹介。
清水亮先生の『中世武士 畠山重忠』(歴史文化ライブラリー)です。

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武蔵国男衾郡畠山を本拠とした在地領主・畠山重忠。
「まっすぐで分け隔てない廉直な人物」として伝わるイメージの背景には、重忠のいかなるスタンスが秘められているのか。
『吾妻鏡』『平家物語』諸本の記事に加え、諸系図や考古学、現地調査の成果などをもとに、在地領主としての畠山氏のあり方に鋭く迫り、重忠という武士としての生き方を描き出します。

鎌倉北条氏の正史『吾妻鏡』では、文武両道で清廉潔白な「坂東武士の鑑」として讃えられる畠山重忠。
この本では、そうした誉れ高いエピソードのほか、ルーツである秩父平氏や、坂東一の武蔵武士団、大規模な在地領主としての生き方についても描かれています。
重忠のバックグラウンドを理解した後、大河ドラマを観かえすと、その堂々とした立ち振る舞い、誇り高き最期に、また感動を覚えます。

第37回「オンベレブンビンバ」

政子(小池栄子)、大江広元(栗原英雄)らと新体制を始動させた義時(小栗旬)は、泰時(坂口健太郎)を自身のそばに置き、強い覚悟で父・北条時政(坂東彌十郎)と向き合う。
一方、時政を蚊帳の外に置かれ憤慨するりく(宮沢りえ)は、娘婿・平賀朝雅(山中崇)を担いで対抗することを画策。
三浦義村(山本耕史)を誘い、反撃ののろしを上げる。
北条家内の対立が激化する中、源実朝(柿澤勇人)は和田義盛(横田栄司)のもとへ――

「父上(時政)は気づいておられます。この企てが上手くいかないことを見越しておられる。
りく殿の言う通りにすれば、必ず行き詰まる。しかし父上は敢えてその道を選ばれた。
太郎(泰時)、なぜお前を側に置いたか教えてやる。父の覚悟を知ってもらうためだ。」
「執権北条時政 謀反! これより討ち取る!」

畠山重忠の乱を経て、合議から外された時政とりくは、鎌倉殿を実朝から平賀に挿げ替えることを画策。
和田邸からの帰り道、実朝を時政邸に連れ込み、泣き落としなどの様々な手で出家させようとします。
義村からの密告で義時は事前に察知していたものの、父時政を失脚させるため敢えて泳がせます。
『吾妻鏡』の悪女りくが実朝殺害を企て時政を唆した説と、『愚管抄』の首謀者時政を政子&義時が躊躇なく追放した説が、うまくブレンドされていますね。
来週、牧氏事件がどう決着するか楽しみです。

話題となったタイトル「オンベレブンビンバ」の正体は、「オンタラクソワカ」でした。
今は亡き娘の大姫が時政に教えてくれた元気になるおまじない。
大姫が健在で北条家の仲が良かった頃を思い出させ、最後にみんなを笑顔にしてくれました!

さて今週は、のえ(菊地凛子)が政子に知ったかぶりをさせた賀茂の祭(葵祭)にちなみ、源氏物語の入門書をご紹介。
佐藤晃子先生の『源氏物語 解剖図鑑』(エクスナレッジ)です。

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古典文学不朽のベストセラーで世界最古の長編小説『源氏物語』の全54帖を徹底解剖!
物語の全体像を分かりやすく解説するのはもちろんのこと、当時の皇族・貴族の暮らし、風習、文化、信仰などについても詳しく紹介しています。
物語の中では熾烈な権力闘争が繰り広げられており、当時の社会情勢と比較しつつ歴史も学べるようになっています。

『源氏物語』読破の障害は、物語の長さと登場人物の多さ。
この本では、全54帖をそれぞれ2~4頁とコンパクトにまとめています。
光源氏の恋模様をざっくり概説した上で、平安時代の暮しや慣習をイラストで図解。
恋愛小説より歴史が好きな人も楽しめる内容に仕上がっています。

また、多すぎる登場人物たちは、姫君をネコ、殿方をイヌとして描き分けています。
物語に沿った人物相関図もあって、複雑な人間関係の整理がとても楽です。
最後の「五十四帖:夢浮橋」まで、スラスラと読み進めることができました。
長編小説『源氏物語』に挫折した人にこそお薦めの一冊です。

ちなみに、のえが言っていた賀茂の祭(葵祭)は「九帖:葵」のエピソード。
大姫が名乗った「葵」も、この帖で呪殺された光源氏の正妻「葵の上」に因んでいます。
「二十帖:朝顔」の解説によると、賀茂神社に仕える斎院(斎王)は未婚の内親王が立つそうで、この頃は後鳥羽天皇の第3皇女の礼子内親王(千世の姪)が務めていた様です。
のえをやんわり静止した千世のあの顔は「何も知らないんだから黙ってなさい」だったのかな?
流行の物語とはいえ、書き写したものを読むしかないこの時代、知ったかぶるのも大変です。

再来年の大河ドラマは「光る君へ」は、『源氏物語』を生んだ紫式部が主人公。
現代語訳の小説も再挑戦してみようかなぁ。

第38回「時を継ぐ者」

激しさを増す北条親子による主導権争い。
北条時政(坂東彌十郎)とりく(宮沢りえ)は、三浦義村(山本耕史)に命じて源実朝(柿澤勇人)を屋敷へと連れ込み、鎌倉殿の座を娘婿・平賀朝雅(山中崇)へ譲るように迫る。
対する義時(小栗旬)は、泰時(坂口健太郎)、時房(瀬戸康史)、八田知家(市原隼人)らを引き連れ、時政の屋敷を包囲。
攻め込む機会を慎重に見定めていた。
張り詰めた空気が鎌倉を覆う中、政子(小池栄子)は――

「鎌倉殿、此度は無理強いをしてしまい、申し訳なく存じます。
鎌倉殿の芯の強さ、感服致しました。
いずれは頼朝様を超える鎌倉殿になられます。」
「小四郎に伝えてくれ。後は託したと。
北条を、鎌倉を引っ張っていくのはお前だと。」

“家族想いの気のいい親父”という新たな一面を見せてくれた、坂東彌十郎さんの北条時政。
愛妻りくとともに、今回で退場となります。

また、伊豆の隠遁生活については、以前ご紹介した野口実先生の『北条時政』に書かれています。
『吾妻鏡』には晩年の記述が少なく政治的影響力を失ったと考えられていましたが、慈円和尚が鎌倉幕府に宛てた書状や藤原定家の日記『明月記』からは、時政とりくの政治生命は絶たれておらず、健在であったことが伺えます。

時政から義時、泰時へ、北条の「時」は150年先も受け継がれます。
ちなみに北条政子の「政」も時政から取られていますが、命名は時政失脚の13年後。
隠遁後も時政と政子の親子関係は良好であったと思われます。

さて今週は、時政のウグイスのトリビアにちなみ、野鳥の鳴き声が聞こえる野鳥図鑑をご紹介。
鳥類学者の樋口広芳先生監修、石田光史先生の著作『ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑』です。

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国内で見られる代表的な野鳥324種を掲載した、ポケット野鳥図鑑の決定版!
散歩や自然観察、山歩きや旅行の供にし、バードウォッチングを楽しんでください。

私も5年以上愛用している野鳥図鑑。
通勤路の大田川や天白川には色々な野鳥が訪れるので、新しい鳥を見つけたときのため、鞄に忍ばせています。
特に、大きさごと50~60種の写真一覧から探せる“インデックス”を重宝しています。

解説ページでは、生息地や食性、羽色などはもちろん、「何回もおじぎをする鳥」「百の舌をもつ鳴きまね名人」など観察したくなる面白い行動や生態も載っています。

また、スマホで鳥の鳴き声が聴けるQRコードも掲載。
ウグイスの項では、①さえずり「ホー…ホケキョ」、②地鳴き「チャッチャッ」、③警戒声「ケキョケキョケキョ…」の3種類の声を聞くことが出来ます。

持ち運べなくていいから、大きな野鳥の写真が見たい!という方は、里中遊歩先生監修の『美しい鳴き声が聞こえる野鳥図鑑』がお薦めです。
「身近な野鳥200種」(税込690円)と「日本の野鳥400種」(税込1,320円)の2種類があり、どちらも鳴き声を収録したQRコード付きで、お値段もリーズナブル!
大きな写真をじっくり眺めながら、様々な鳴き声を聞く――。
おうちの中でも野鳥観察を楽しめます。

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第39回「穏やかな一日」


いまだ源実朝(柿澤勇人)と千世(加藤小夏)との間に世継ぎの誕生がなく、気にかける政子(小池栄子)と実衣(宮澤エマ)。
義時(小栗旬)は、御家人たちが謀反を起こさぬように政(まつりごと)の仕組みを改める。
しかし、傲慢なやり方に三浦義村(山本耕史)、和田義盛(横田栄司)らが不満を募らせていた。
一方、泰時(坂口健太郎)は慣れない和歌に悪戦苦闘し、源仲章(生田斗真)に相談を持ち掛ける。
そんな中、成長した公暁(寛一郎)が――

「鎌倉殿が一度口にしたことを翻しては、政(まつりごと)の大本が揺るぎかねませぬ。
私のやることに口を挟まれぬこと。
鎌倉殿は見守って下さればよろしい。」

平盛綱(きづき)への嫉妬もあり、つい声を荒げて正論をぶつけてしまった実朝。
そうとは知らぬ義時は、頼家のように政治に関わろうとする鎌倉殿は不要とばかり、実朝を脅迫して黙らせます。

小栗旬さん演じるブラックな義時は、迫力がありますね。
身長差が10cm近くある人に目の前まで迫られると、ただただ怖い。
明るい日常シーンと暗闇の中の義時のコントラストにもゾクッときます。
最後の公暁が鎌倉を去る演出も素敵です。

視聴者も気になる、実朝が泰時へ送った和歌は、恋歌であると気づかれ返されてしまいますが、実朝は「間違っておった」と予め用意していた?破局を詠んだ和歌を泰時に送ります。

和歌については実朝が和歌の勉強を始めた第33回の時に書かせてもらったので、
今週は、黒義時が成立させた執権政治について書かれた本をご紹介。
細川重男先生の『執権 北条氏と鎌倉幕府』です。

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北条氏はなぜ将軍にならなかったのか。
なぜ鎌倉武士たちはあれほどに抗争を繰り返したのか。
執権政治、得宗専制を成立せしめた論理と政治構造とは。
承久の乱を制し、執権への権力集中を成し遂げた義時と、蒙古侵略による危機の中、得宗による独裁体制を築いた時宗。
この二人を軸にして、これまでになく明快に鎌倉幕府の政治史を見通す画期的論考!

お堅い表紙の講談社学術文庫という外見とは異なり、とても読みやすい一冊です。
細川先生お得意のコミカルな現代語の意訳が所々に入り(たまに笑ってしまいます)、読み物として純粋に楽しめます。
「第二章 江間小四郎義時の軌跡」では、北条時政の次男として生まれ兄宗時の家子(従者)として生きるはずが、頼朝と出会い家子専一(側近の筆頭)となり、鎌倉幕府内の権力抗争を経て最高指導者となり、やがて上皇をも打ち負かす伝説となった、義時の激動の一生を紐解いています。
ここから見える義時像は、大河ドラマとも違いますが、私の中では一番しっくりきました。

まずは「はじめに」の11頁を読んでもらえれば、この本の目的や雰囲気が分かるかと思います。
(先のぶっちゃけた意訳は、好みが分かれる様です。)

連載休止のお知らせ

こんにちは。中の人こと雪餅です。
この度、社内の人事異動のため、
「鎌倉殿のお薦め本」の連載を休止します。
今まで読んで読んで頂きまして、ありがとうございました!

第40回以降は、各回のあらすじと用意していたお薦め本のリンクのみ貼らせて頂きます。

また新部署が落ち着きましたら、
歴史関連の記事の執筆を再開したいと思います。
今後ともよろしくお願いします。

第40回「罠と罠」


閑院内裏の修復を計画する後鳥羽上皇(尾上松也)は、鎌倉に引き受けさせるという藤原兼子(シルビア・グラブ)の進言に心を躍らせ、慈円(山寺宏一)と共に笑みを浮かべる。
一方、京から知らせが届いた鎌倉では、重い負担に御家人たちが反発。
源実朝(柿澤勇人)からも慕われる和田義盛(横田栄司)が旗頭となり、八田知家(市原隼人)らが集う状況を、義時(小栗旬)が苦々しく思っていた。
そんな中、信濃で一つの事件が起こり――

「考えてみれば、皆死んじまったなぁ
昔からいるのは俺(和田義盛)と平六(三浦義村)ぐらいだ。
今の鎌倉殿は賢いし度胸もあるし、何より心が温かい。
ようやく俺たちは望みの鎌倉殿を手に入れたのかも知れねぇぞ。」

今週のお薦め本は、
細川重男先生の『鎌倉幕府抗争史 -御家人間抗争の二十七年-』(光文社新書)

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源頼朝亡き後、誕生したばかりの鎌倉幕府は異常ともいえる内紛と流血、果ては将軍までもが非業の最期を遂げる時代を迎える。
その質実剛健のイメージとは裏腹に、なぜ「鎌倉武士」たちは
仲間うちで殺し合いを繰り返したのか。
北条時政、北条義時、梶原景時、和田義盛、比企能員……
御家人同士の抗争劇から、浮かび上がる鎌倉時代初期の政治史と、武士たちのリアルな生き様を活写する決定版!

いざ、鎌倉へ(秋の鎌倉もいいですね。)

如何でしたでしょうか。

大河ドラマは、登場人物がたくさんいてとても賑やかですね!
ニッチな人物が登場する度に、本やネットで調べてみたり。
歴史好きの至福の1年です。

私の趣味全開の大田川店では、室町時代と戦国初期が合体した「中世日本史フェア in 東国」を半永久的に展開中です。
ちょこちょこ中身を入れ替えてますので、お近くの方は是非見に来てください。
北条時行(逃げ上手の若君)と北条早雲(新九郎、奔る)。
二人の北条氏も、いつか大河ドラマになることを願って 人

書いた人:雪餅(大田川店)
歴史や地図、一人旅が大好きの書店員。
青春18きっぷで年3回 鈍行旅行する乗り鉄でもあります。

鎌倉は歴史観光で五度ほど訪れていますが、見どころが多く、まだまだ廻りきれていません。
コロナの波が落ち着いた頃には、『街道をゆく』や『るるぶ鎌倉殿』を読み返しながら、またゆっくり歩きたいですね。

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